IV - 002 いやだと思っているなら脱け出せ ページ24
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あの夢を見てから何のために刀を取ったのか自問自答するようになった。Aは今日も今日とて早起きだ。ぼんやりとおにぎりを作り始める。一つ目、梅干しを入れた。二つ目、塩のみの味付けにした。三つ目、で手が止まる。
何を入れようか──悩むという思考に入ったところで途端に脳が幼児化したようだった。眠りの中でも意識が覚醒してからもずっと考えている。刀を握る意味を。刀を振るう意味を。
鱗滝が棚に仕舞っていた鬼殺隊という組織の書物。それを読破した時の感情が今になって襲ってくる。
「何が故……」
妹のような被害者をこれ以上産んではいけない。不本意に鬼となってしまった元は人間の哀れな彼女、彼らを救うため。鱗滝の前ではそう言った。
しかし何か一つ足りないような気もする。まだあるのではないだろうか。Aの中には刀を握る明確な理由と意味と意思が。
「A、おはよう」
「あぁ、錆兎おはよう。早いな」
「いい香りがしたからな」
錆兎はふっと笑ってAの肩からおにぎりを覗き込む。美味しそうに湯気を立たせる光り輝く白米にぱちぱちと瞬いたあと「美味そうだ」と弾んだ声で言った。
「ありがとう。ただ三つ目のおにぎりがまだ」
「鮭がいいよ！ A！」
錆兎とは逆の左肩からわっと勢い。少しだけ瞼を上げたAはすぐに首を捻った。とてつもない食欲で眠気まなこを吹っ飛ばされた義勇が零れんばかりの笑顔でそこにいた。
ぱたぱた、足踏みをして「ね、A、鮭にしようよ」と星を散りばめるように笑顔を咲かせている。
心臓の温度がぐんと上昇するのを感じ、Aは口端を震わせた。蹲っていた疑問が光を掴みかける。
「義勇、Aに無理を言うな。鮭はもう昨日全部食べただろ」
「まだ少し残ってたよ、大丈夫っ」
「大丈夫ってお前な」
「大丈夫だ」
錆兎の目が見張られる。またAの悪い癖だ、どんなわがままも受け入れて優しさで溶かす悪い癖。いい所。注意しようとAに視線をやった錆兎だったが、大きく開きかけた口はすぅ……と閉じられていった。
「大丈夫。作るよ義勇。待っててくれ」
Aが、あまりにも楽しそうに晴れやかに、幸せそうに笑っていたから。何も言えなくなって閉口した。
「ほんと！ ありがとうA！」
この笑顔だ。と思った。この笑顔が、彼らが、この居場所が自分の護りたいもうひとつの大切なものだと。だからこそ鱗滝のような強い剣士になりたいと思ったのだと。
IV - 003 欲というライオンに喰われるな→←IV - 001 体だけでなく心も洗え
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
