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｢着いた、、｣
翔くんには友達とお出かけだと伝えている。
今日私が長野に来ているのを知っているのは智くんだけだろう。
智くんから貰った1枚の紙だけを頼りに、初めての道を歩いていく。
"黄色の屋根のお店を曲がったとこ”
もう暫く和の家には行ってなかったらしく、智くんが覚えてるのはこれだけ。
｢黄色い屋根…黄色い、、あった｣
本当に真っ黄色な屋根の喫茶店があった。
｢おっき……｣
何度目を擦っても｢二宮｣の表札がある。
いや、でもやっぱり二宮ってこの辺では珍しくないかもしれないし、こことは言いきれないし、、
そうモヤモヤ考えてると、その大きな家のドアが開いた。
二宮｢…お前、なにやってんの｣
｢和、、｣
女｢和也さん、知り合い？｣
二宮｢まぁ｣
｢あっ、、ごめん。たまたま近くに来たから寄ってみただけ、、なんでもないの、じゃ…｣
そう言って帰ろうとした私を和の手がとめた。
二宮｢お前、大野さんに聞いたか。｣
｢…まぁ｣
二宮｢せっかく来たんだし、お茶くらい奢るわ｣
｢いいのいいの。そちらの女性もいるし｣
私が今1番気になってる事。
その女の人は誰なのか。
でも家から一緒に出てきたわけで、考えつく関係は1つしかないけど……
二宮｢かなさん。先に行っててもらえますか？
私はあとで合流します。｣
｢分かりました。｣
二宮｢ほら。こい｣
行先はさっき曲がった黄色い屋根の喫茶店だった。
二宮｢それで？なんでここにいるわけ｣
｢なんで……って、｣
二宮｢もしかして俺に逢いに来た？｣
本当はそう。それ以外に来る理由なんてあるわけない。
なのになんで
｢…違うよ｣
なんで私の口からは反対のことしか出ないの…
二宮｢あっそ。んで？翔ちゃんとは順調なの｣
｢…翔くんに聞いたの｣
二宮｢まぁそうだけど｣
｢それより、和は？
こっちで何してるの｣
二宮｢俺の事はいいんだよ。当面そっちには帰れないし。将来的にはこっちに住むことになるし｣
｢え、｣
二宮｢なに？今寂しいって思った？｣
｢なにそれ｣
二宮｢ま、用は無いみたいだけど、ここまで来てくれてありがとよ。お茶代は奢ってやるから気付けて帰れ｣
そう言って立ち上がった和の腕を無意識に掴んでいた。
｢…帰ってきてよね｣
二宮｢なんだよ。だから俺帰んね、｢待ってるから｣
｢ごちそうさま｣
それだけ言い残して店を出た。
遠くから微かに
｢ずりぃよ｣
そう聞こえた。
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作者名：YAGI | 作成日時：2018年4月28日 23時
