この手に科学の灯を４ ページ36
千空 side
千空｢科学本漁り始めて生まれて初めて読んだ伝記がエジソンだった。どこの図書館にも100億%あっからな。そりゃそうなる｣
道路の端に立ってる街灯を見上げて、
「つうか、そもそも電気ってなんだよ？」
電気そのものを理解するにはこの時の俺はあまりにも無知だった。だから、とにかく本で調べまくった。
学校の図書館、街の図書館。時おりコネで大学の図書館にまで足を運んだくらいだ。「科学」に関する本が置いてある本棚の本を片っ端から抜き取り、ありとあらゆる科学本を集めて机の上に並べて読んだ。
「ほ〜ん。突き詰めると宇宙には四つの力しかねえのか。重力、電磁力…これが電気だな！あと強い力と弱い力？意味不明すぎて笑えるわ」
この時まだ小学一年生、
普通に考えたらありえねぇ光景だ。
１＋１＝？みてぇなことやってる算数の時間に『四つの力』 についての本を読むガキ。
『四つの力』なんて簡単そうな名前だが、素粒子・量子力学の範囲だ、小学一年生の読み物じゃねぇ。
「つまり電気っつうのは、宇宙で一番根幹のパワーだってこった！唆るじゃねぇか！」
そう目を輝かせながらとっくに内容を理解している算数の授業を終えたのをよく覚えている。
俺の隣で、何かを懐かしむような哀しむような目をして空を見上げるA。
千空｢素っ裸でたった一人、原始の地球に生まれて」
考えていたことが声になる。隣で座るAが空から視線を俺に移す。
千空「1年4ヶ月でようやく辿り着いた。科学の根幹、『電気』に＿＿＿来たぞ、まずはここまでな…！！｣
拳を強く強く握って一人笑う。
その勢いのままAの方へ拳を突き出す。
意図は伝わったらしい。
突き出した拳にAも拳を当てる。
満天の星空の中、
コツン、と拳同士がぶつかる小さな音が鳴った。
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作者名：Saki | 作成日時：2021年8月24日 16時
