敬語系実況者【最終兵器俺達】

◇ ページ44

・弟





初めて姉にゲーム実況をやっていると言われた時、驚きというのはあまり無かった。決して姉に対して冷めている訳じゃないし、嫌いという訳でもない。





姉ならやりそうだなって、何か納得いく感じで自分の中でストンと腑に落ちた。だって、姉はそういう人だったから。






誰かに何かを言われて、自分の意思を曲げる様な人間じゃない、それに本当にゲームが心から好きなんだろうなって思っていた。学生の姉さんを頃を支えてきたのは、きっとキヨさん達とゲームだろう。





昔の最俺がイベントに行った時、その会場に俺も居た。姉さんの番が回ってきて、俺はワクワクしてたけど明らかに周りの雰囲気は違う。喜んでる人も居たけど、大概はブーイング。





『女のゲーム実況者とかマジないわ』


『勝てる訳ねーじゃん。チヤホヤされたいだけだろ』


『飾りのゲーム実況者かよ。さっさと消えろ』


『最俺って終わってね？』





ゲーム実況者の人達の中でも、姉さんの実力を知ってる人と知らない人では反応が違った。でも、姉さんはそんな中でもぶれない芯を見せてくれ。コントローラーを手にして、周りの年上の男の人達と真っ向勝負。





姉さんは1位を勝ち取って最俺は優勝。最後、司会者の人が最俺にマイクを向けて、最後姉さんの番。





『最俺としてゲーム実況者として、性別関係なく、頑張っていきます。飾りじゃなく私は本気です』





格好良い、ただそれしか浮かばなかった。いつの間にか会場は拍手の嵐。俺も拍手をしていた。




・






1番下として育ってきた俺にとって、兄と姉は偉大な存在だ。それは今だけじゃなく昔から。父親が亡くなった時、姉さんも兄さんも泣かなかった。分からない、俺の知らない所で泣いていたのかもしれない。





「姉さん、起きて夜ご飯の時間だよ」



「んーなんか……いい匂いします、しますじゃないや(笑)」





相も変わらず癖で俺に対しても敬語が出るけど、格好良くて憧れの姉です。





そんな姉のチャンネル登録者数が100万人を超えた。最俺では2人目、凄いな。





視聴者の方々には心で感謝をしておこう。メンバーの人達には……会う機会があれば、お礼をしよう。

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