作りあいっこ。 ページ4
｢…ほら、2人とも。握手して？｣
鼻をすする男の子の手を乱暴に掴む園子ちゃん｡
園子ちゃんだろうか。ところどころに小さな引っ掻いた跡が残っている。(私は暴力振るってない。断じて。)
｢…蘭ちゃん、ごめんね。取り戻そうとしたんだけどこんなになっちゃって…。｣
申し訳なさそうにネームプレートを差し出す園子ちゃん。その目には涙が浮かんでいた。
｢…大丈夫!!お母さんが作るとこ見てたから!!｣
園子ちゃんはそれを聞いてほっとした表情を見せたが、私にはバレバレ。原作を知っている…というのもあるがその拳は固く握りしめられているし、悔しくてたまらなかったのだろう。無理やり笑顔を作っているのが丸わかりだ。
*
＿＿パタン
先生が出ていったのを確認して、私は目を開けた。
そして横にいる蘭ちゃんに小声で話しかけた。
『蘭ちゃん、蘭ちゃん。』
｢!!…何だ、Aちゃんかあ。びっくりしちゃった。｣
驚いた表情でこちらを見る蘭ちゃん。
その手元には桜色の折り紙がある。
『…ネームプレート、作り直すの？』
｢うん。…お母さんが作ってくれたの、クシャクシャになっちゃったから。｣
『…そっか。ごめんね、無事に取り戻せなくて。』
そう言うとAちゃんのせいじゃない、と答える彼女。やっぱりいい子だなぁ。…当たり前か。新一が惚れる子だもんね。
…それにしても、このまま蘭ちゃんのネームプレート作りを見守るってのも何だか味気ない気がする。
…あ、そうだ！
『ねえねえ蘭ちゃん。作りあいっこしない？』
｢…作りあいっこ？｣
『そう。私が蘭ちゃんのネームプレート作って、蘭ちゃんが私のを作るの。』
｢…でも、Aちゃんはネームプレート…｣
『うん。あるけど、蘭ちゃんとお揃いにしたくて…。』
お揃い、という言葉を強調させるとキラキラと目を輝かせてブンブンと頷く蘭ちゃん。
ただ単に私が蘭ちゃんの手作りネームプレートを欲しいってだけなんだけど。新一と一緒に仲間宣言もできるしね？
『…っよし。できた！』
出来上がって蘭ちゃんの方を向くと、蘭ちゃんが泣いていた。
そりゃそうだよね、お母さんが作ってくれたネームプレートを壊されて悔しくないわけが無い。
｢私もできた…｢オレにも作ってくれよ…。それ、さくらだろ？｣え？｣
来ましたー！新一くん！未来の蘭ちゃんの旦那さま、新一くんですぞ！
…私も気配に気づかなかったんだけど。やっぱりﾀﾋ神くんは凡人とは違うなぁ？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 589人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華(プロフ) - こげた米さん» はい！探偵たちの鎮魂歌です...！こげた米さんのご希望に答えられなくてすみません...。でも、続編でいつか書けると思うので楽しみにしててください！応援ありがとうございます！ (2019年5月19日 9時) (
レス) id: 1c08efcab1 (このIDを非表示/違反報告)
こげた米 - 探偵たちの鎮魂歌になったんですね！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2019年5月19日 9時) (レス) id: fb5417bcb2 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 愛乃さん» 全然大丈夫ですよ！謝って頂く必要なんてありません！私もリクエストされて嬉しかったので(笑) (2019年5月19日 7時) (レス) id: 1c08efcab1 (このIDを非表示/違反報告)
愛乃(プロフ) - 華さん» あ、そうなんですね！ちゃんと調べてから言うべきでしたね。すみません。 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 3509d79049 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 架印�靴気�» コメントありがとうございます！そうですね、そこはちょっと砕けてる感じを意識しました！最高と言ってもらえて光栄です！ありがとうございます！ (2019年5月18日 22時) (レス) id: 1c08efcab1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華 | 作成日時：2019年5月1日 23時
