◇ ページ7
「長く生きてて記憶力とか無くなった?俺あの時一生分抱いたでしょうが。顔だけ変えても無駄だよ?体のどこかしこも、同じ形してんじゃん」
俺は自分の第六感を心の中で盛大に褒め称えつつ、堰を切ったようにAを詰った。
『…そちらは記憶力ハンパないですね』
「忘れてるわけないでしょ!俺には、つい先月のことなのに」
『…私には、何百年も前のことです』
俺を見上げる目に、さっと彼女が過ごした年月が走り去って、そのしわがれた声に、俺は今の今まで感じてた彼女への怒りはスンっと消えて、
「ああ、そうなの」
て頷いて。
自分でも、おかしいくらいに嬉しくなった。
そんな何月、経ったって言うのに。
「それでも、来たんだね」
そう言って感情のままに微笑んだら、Aは俺を不思議なものを見る目で見つめた後、不意に大粒の涙をポロポロこぼした。
「ジンさん、私、来ちゃった」
てこないだ空浮いてふんぞり返ってた人とは思えないくらい、情けない声で言うから、思わず笑って
「遅いよ。俺を待たせるなんて、何様なの君」
て唇突き出して不満を言ったら、Aは泣きながらだけどようやく全部、受け止めた顔をして
『あなたに会いに来た、
ただの女の子です』
て言って、ハの字になった眉もそのままに、少し強気に、でもすごく恥ずかしそうに微笑んだ。
それ見て俺はようやく、今さっきまでのささくれてた気持ちなんかが、全部溶けた。
「よし。それじゃあ覚悟して」
身長差あるからやりにくいので、よいしょってその背中を抱いて持ち上げて、顔の高さを合わせる。
『覚悟?』
なんのこと、て顔してるから、俺はニヤリと笑って見せた。
「まだまだ全然、し足りないって覚えてないの?」
「これから、時間無制限だから」
ずっと触れたかったその唇にキスしたら、なんだかやっと、日常を取り戻せた気がしたよ。
JM「ヒョン…俺、部屋帰りますね…」
ヤァ、ジミナ!
キスに夢中で、存在、完璧わすれてた。
ごめん。
おわり。
↓↓↓本編↓↓↓
ソクジンと魔法のランプ【JN】
414人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:フネ55 | 作成日時:2023年1月28日 22時