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済州はあまりに無難かなって思って、本当はいっそモルディブとかの離島の一つで水上コテージと海満喫ツアーとか、まあそういうベタなことも考えた。
でも、俺シーフード苦手だし。
どっちか言うと山とかの方が良くて、それならパリとかイタリアの方がフードも合うし、人目を気にする必要も無い。
ただ、平気で10時間とかかかってしまうので、空港までの移動とか諸々考えると、遊び始めるまでの時間がかかりすぎてしまう。
移動だけでヌナの貴重な休みが吹っ飛ぶなんて、もったいないし、機内で一緒に過ごせないのは分かってるから、そんなの嫌だ。
日本と韓国の良いとこは、ほんと近いとこだと思う。
便数もそれなりに多いし、実際そんなに時間もかからずヌナと合流できて、タクシーで移動中。
ヌナは朝の空港に行くのイヤイヤモードは機内で空に放ちでもしたのか、俺と合流した瞬間からなんか、リラックスしてて明るくて嬉しそうで、頭の上に音符が見える感じがする。
なんだ、やっぱり休み取りたかったんじゃん。
自分が犠牲になれば良い、なんてほんとただ自分の人生への諦めにしか過ぎなかったんだよなって。
窓の向こうを、子供みたいに目を輝かせて飽きずに見てるヌナに、こっち向いて欲しいって思うけど、タクシーの中だからいちゃつくわけにも行かなくて、こんな時自分の免許が欲しくなる。
ただ、取れない理由も自分で重々わかっているから、良いんだけど。
車という名の完全な密室、二人っきりの世界。
憧れるよね。
だって何してもいいんでしょ？
今だって手つなぎたいし、キスしたいし、それ以上のいたずらもできるもんならしたいんだけど。
まあ、そんなことひっくるめて、何でもできるとこに行くんだから、とりあえず我慢。
我慢も悪くないよ。
絶対的に、このあとそれが報われるって、わかりきってる我慢ならね。
ほんと、いくらでも飲み込むよ。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年1月28日 22時
