Fear (ページ34)

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樹『久しぶり、元気？』

北「…。」

樹『あれ、生きてる？』

北「い、生きてる。」

樹『なら良かった、

…死んだのかと思ったよ。』

明らかに意図的に声を低くした最後の言葉

全身に鳥肌が立ったのを感じた

樹『別に、俺北斗のこと消そうなんて思ってないからね？俺優しいからね？』

なんていつもの調子で話すものだから
温度差に戸惑う

樹『まぁ、本当に、

北斗のこと消すつもりなんてないから安心してよ』

こちらの反応も聞かず、樹は話し続けた

樹『だって北斗、自分との関係性知っちゃったんでしょ？

伊藤Aのこと好きになったんでしょ？

だったら、まぁ、別にいいよ。』

北「それは、どういう、」

樹『だから、北斗はもう忘れていいよ？

まぁせいぜい頑張って

愛しの彼女守りなよ。』

北「おい、それって！」

ツーツーツーと無機質な音が耳に響く。

樹の会話にでてきた、自分との関係性という言葉

樹は知っていたんだ

知ってて、俺に声をかけた

そんなことはもうどうでもよくて

とりあえず、俺がAを守らなきゃ、

樹はもう俺は用済みらしい

何も知らないAを危険な目に合わせる訳にはいかない

俺らは2人ともある意味被害者なのだろう、

親という無責任な生き物に振り回された

俺が彼女に出来る唯一の罪滅ぼし

Aを幸せにしなきゃ

血の繋がりなんて、いいんだよ

Aは知らないでしょ？
ならそのままでいてよ

穢れを知らない純真無垢な君のままで、

いてほしい

．