Fear (ページ32)

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慎「ねぇ、北斗…、

なんで、泣いてんの…。」

北「…ごめ、俺にも…

分かんねーや。」

頭を下げた俺の目からは

雫がポタッ、ポタッと滴り落ちる

彼女には慎太郎のように想ってくれる人がいる

何も無い俺が
俺なんかが容易く傷つけていい存在じゃない

慎「とりあえず頭、上げて」

北「ん…」

上げた視線の先の慎太郎は泣きながら笑っていた。

慎「わかった。北斗が、

言えるようになるまで待つから。

俺は、北斗を信じる。

出会って短いけど、北斗、

悪いやつじゃないでしょ？

俺分かんだよね。」

北「ごめん、ありがとう。

ありがとう…、本当に。」

慎「でも、絶対約束して。

Aのこと泣かせないって。」

北「うん、分かった」

慎「絶対だよ。」

あぁ、そっか。

慎太郎ってAのこと

好きだったんだろうな。

じゃなきゃ、涙なんて流さないでしょ？

本当に、俺って何してたんだろ

Aは俺なんかが苦しめていい存在じゃない

Aが不幸だと

慎太郎も、

多分あの、髙地も、ジェシーも。

悲しいんでしょ？

ごめんな、ホントごめん。

だから、

俺が、Aを幸せにするから。

そんな誓いを胸に、慎太郎の言葉に頷いた。

目に入った慎太郎のアイスコーヒーは

氷が溶けきってしまっていた

俺らの間のわだかまりも溶けたみたいだ。

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