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葵side
私は『女の子』になりたかった
可愛い服を着て、化粧をして綺麗になって..そうするのは自己満足だけが目的じゃない
私は、ただ____
「トシは...私がこういうの着たりするの嫌なの..?」
『変わってほしくなかった』..彼に変わることを否定され気持ちの行き場がなくなってしまった
「.....」
トシは黙ったままで何も言わなかった。..多分それが彼の答えなんだろう、そう思った
一瞬の沈黙が空気を包んだが、そんな中で
「葵、トシ、..何つったってるネ。どうかしたアルか?」
「土方さん、早くなんか奢って下せェよ、」
神楽と沖田が私達を見つけ、そう声をかける。私はそんな二人とトシに
「ごめん、私、もう帰るね。」
「え、!まだまだこれからアルヨ?帰っちゃうアルか?」
「ちょっと用事入っちゃって...それじゃ、__」
三人に笑顔を向けた後、その場を去る
とてもじゃないがもう気乗りしないというか、祭りを楽しめるような感じではなくなってしまった
「(はぁ...)」
変わった私をトシに否定された傷がまだ残る
私は、なりたい自分になるため変わった。それだけじゃない、今日こんな綺麗な浴衣を着たのも、メイクをしたのも
...全部トシに『可愛い』って、そう言ってほしかった
けど、結局私は『可愛い女の子』にだなんてなれなかったんだと思う。何をしたって私は『女の子』からはほど遠い
自然と目頭があつくなり、今にもなにかが溢れてきそうになる
人に見られないよう、目線を下げ早足で歩いていると誰かと肩が軽くぶつかり
「悪ィな、...って葵?え、お前どうした..!?なに泣いて__」
聞き覚えのある声に顔を上げればそれは坂田で
「...っ、坂田ぁ..」
あぁ、もうダメだ。溢れるモノを止められない__
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なゆ(プロフ) - めっちゃ面白い!更新頑張ってください!! (2019年8月26日 12時) (レス) id: af64f6a838 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シオン | 作成日時:2019年8月10日 23時