SHINE. (ページ34)

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ー岩本照sideー

「お疲れ様です」

岩本「あ、Aおはよ」

「おはよ照くん」

8.8に向けたリハーサルは連日それぞれのスケジュールの合間を縫って行われている
コラボもあるし、関西Jrとの合わせは回数も時間も限られてるから、気の抜けないことが多い

それに俺達はこのステージでデビュー発表をする。SixTONESと一緒に
メンバーしか知らされてない＝周りのJrは誰も知らない
いつも知らない側だったから、デビュー発表を聴いてどんな雰囲気になるかなんて容易に想像がつく

しかも俺が、ってかみんなが心配してることはそれ以外にもあって

森本「兄やんAは?」

岩本「いつものあそこ」

ジェシー「前は俺達のとこに来てくれてたのにね」

松村「いつも通り、“風”だな」

俺に挨拶をした後スタジオの端で、音楽聞きながらストレッチしてるAは、ここにいる人の中で唯一全てを知ってる
他のJrが声をかければ普通に会話をするけど、それ以上は踏み込んでいかない

ジャニーさんが亡くなってから、みんな心のどっかが空っぽになった
特にAは、ジャニーさんが一人娘だって言ってずっと面倒見てたから、俺達よりもその喪失感は強いと思う

原因不明の失踪期間とジャニーさんの事が重なって、普通を装ってても心がここにない感じがあって
リハが始まった期間からそれはずっと続いてる

あんなだったっけ、Aって。他のJrもみんながそう思うくらい
視線の先はいつもどこかを彷徨っていた

京本「岩もっちゃん?」

岩本「(ボー)」

京本「岩もっちゃんって、っば!」

岩本「いって!」

力強いチョップと裏腹に可愛い顔してブスくれてる大我は、ちらっとAのことを見てAのこと?って言ってきた

京本「ジャニーさんのこと結構キテると思う。本人は平気な顔してるけど」

岩本「やっぱそうだよな」

京本「それ以外にもさ、知ってるじゃんAは。俺達のデビューの話」

岩本「あぁ...」

京本「ジャニーさんの家族葬の後、俺一緒にいたんだけどさ
いきなりだよ?いきなり」

“おめでとう、みんな” って言われたんだよね

それは祝福の言葉なのか、皮肉に満ちた言葉なのか

俺は頭を鈍器で殴られたみたいな感覚だった

京本「Aきっと、俺達じゃ想像できないくらいの何かを隠してる」

岩本「何かって、まさか」

京本「そのまさかじゃないと信じたいけど...」