EXILE 医療センター18

#目眩 ページ29

登坂side

登坂『じゃあこれ森山さんの処方。それと、これ変更になった分。』

『……うん。分かりました。』


一番信頼している看護師、それが彼女のA。

Aは若手なのにしっかりしてて、誰からも信頼されるような子なのにほんわかしてて可愛くて。


ただ、最近少しやつれてる。仕事が増えて、しんどいんだろう。お互い忙しくてなかなかプライベートで会えない。


『うん、これが変更になって、これはそのままね、うん、…』



確認して、薬剤を取りに行くA。

しばらく後ろ姿を見ていたけど、手元に目線を移したとき。


看護師『深瀬さん！』

新人看護師がAを呼ぶ声がして顔を上げるとAが倒れてて。


登坂『Aー、うん、しんどいな。

顔触るよ、……貧血、鉄剤用意して。

ここのベッド借りるよ、外来は3の部屋開けてもらって、それから…』

たぶん自力では動けないだろうし、他力でも動かせたくない。


時計を見ると午後の0時過ぎ。

午後診の隆二には申し訳ないけど、他の診察室を開けてもらって俺はここでAの処置。



登坂『いいからじっとしてて。かるーく手握ってごらん、……んー。』


なかなか血管が出てこない。体が疲れる証拠。

登坂『トンボにするわ。はい、力抜いてな、すぐ終わるから。……ん、頑張ったねー。』


『……こども扱いしないで。』


登坂『聞こえてた？笑

どう、足高くしたからちょっと楽になってくると思うけど。』

『うん。……ちょっと目眩しただけだから、全然大丈夫。』


登坂『無理しすぎ。グロス取って。』


こんなに貧血で目眩するくらいなら顔色にも出てるんだろうけど、化粧で隠してるから。すっぴんになれ、なんて鬼蓄は言わないけどグロスくらいはとってもらう。


登坂『青いなぁ。笑

今日はお仕事禁止な、しばらく仮眠室で寝てること。それで、定時になったら俺と帰ろう。』


『…ええぇ、仕事あるのに。』


登坂『だーめ。ドクターストップだからおとなしく従いなさい。

……なーんで、そんなに疲れちゃった？なんかあった、A。』


『……若手を育てるのは難しいね。今までは自分が若手だから思ったことなかったけど、考えたことない苦労がさぁ、』


今年の新人看護師の教育担当になっているA。教育はもちろん、通常の仕事もあるわけで、実質1.5倍くらいの仕事量みたい。

ご飯も食べられないみたいだし、恒例の夏バテもたたってこんなことになってしまったみたい。

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