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晴side



家に帰ると、珍しく親父の靴があった。




「おかえりなさいませ。坊ちゃん。」

「ただいま」





小林が俺の鞄を受け取ると
少し困ったようなかおをした。





「旦那様が、白峰様との近況状況を伝えろとおっしゃっていますが。。。」

「は?昨日の今日だろ?」

「やはり、収穫なしでしたか。。。」






小林が俺に鞄を突き返した。





「行ってらっしゃいませ。白峰邸まではお送り致します。」

「え?ちょ。。。っ」




強制的に外へと追い出された俺は、仕方なく門の前に用意された車に乗り込んだ。


俺の家と変わらない豪邸に到着し、しばらく待っていると
黒塗りのベンツがゆっくりと停まった。





中からは少し表情が暗い白峰。




慌てて外に出ると俺に気づいた彼女が俺を見て
手を振った。




『神楽木くん。久しぶり』

「おう」

『家に用事?』

「いや、お前に会いに来た」





2台の車が静かに立ち去った。




『私が元気ない時はいつも神楽木くんに会う気がする』




悲しそうに笑う白峰を見ると俺まで悲しくなる。






「少し話さねぇか?」





近くのカフェに入り向き合って座ると、緊張感が増す。





「なんかあったのか?」





俺が聞けば、白峰は困ったように眉を下げた。





『天馬くんにね、婚約者が出来たの』

「え?」

『多分英徳の生徒なんだけど、昨日その話を聞いて、なんだか、寂しくなっちゃった』





大きな瞳には涙が滲んでいる。



こいつは、やっぱり馳が好きなのか。。。。






「泣きたい時は泣けよ」

『大丈夫。』





そう言って無理に笑う白峰に胸が痛む。





『幼馴染って、ずっと続くと思ってたから、大切なおもちゃを取られた子どもみたいで、寂しいだけなの』




そう言った白峰の瞳が揺れる。

分かってしまった。




「馳のこと、大切なんだな」




幼馴染としてでなく。。。。





『うん。神楽木くんのことも、すごく大切だけど。』






パッと目が合う。




やべ。

顔赤いかも。




目線を逸らすと、注文したアイスティーが届いた。







『おいしいね』






白峰を見ればさっきまでの悲しさの色は消えて、

ふにゃりと笑っていた。



胸が苦しくなる。





俺は、
辛いことも緩い笑顔で消してしまうような所が




「好きだ」


自分の口から出た言葉に、ハッと口を覆った。

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設定タグ:花のち晴れ , 馳天馬 , 平野紫耀   
作品ジャンル:恋愛
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あい(プロフ) - ひなさん» ありがたい言葉! これからもよろしくお願いします(^-^) (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5d891c1c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 早速の更新ありがとうございます(о´∀`о)読ませて頂きました☆引き継ぎあいさんのペースで書いて頂ければと思います(^^) (2018年7月20日 21時) (レス) id: 4d0c37ce82 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます!更新間隔があかないように頑張ります(^-^) (2018年7月20日 20時) (レス) id: 5d891c1c69 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - なかなか無い作品です!続きがとても気になります♪ (2018年7月20日 15時) (レス) id: 4d0c37ce82 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2018年7月17日 21時

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