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何とか昼前に作業を凡て終えた私たちは、一息入れる為にお茶を飲もうとしていた。給湯室で入れたそれらを運んでくれていた与謝野
(来た)
確信を持って入り口へ目を向けたと同時、勢いよく事務所の扉が内側へ吹き飛んだ。次いで、機関銃を構えたマフィアの構成員達が、訓練された動きでなだれ込んでくる。
「何ッ……!」
(ッ黒蜥蜴――?)
驚いた国木田さん同様、私も大きく目を見張った。真逆やって来るのがマフィア屈指の実働部隊である彼らだとは思ってもみなかったが、彼らの上司が芥川であることも考えれば、そこまで不思議なことでもない……のかも知れない。
動揺してざわめく探偵社員を一瞥し、リーダーの初老の男性――広津さんは唇を歪める。紳士然とした格好からは考えられない程、それは悪い笑みだった。
「失礼。探偵社なのに
ぱちん、と彼が右手の指を鳴らすと全員が此方へ銃器を向け――、
「大目に見てくれ。用事はすぐ済む」
攻撃が開始された。叫び声を上げながら事務員の人々が、そして私を含めた戦闘要員達が机の後ろへ転がり込むその最中、立原さんと銀さんが武器を片手に飛び込んでくるのが見えた。
(真逆黒蜥蜴を白昼堂々送り込んで来るなんて、そんなに敦さんが欲しいのか……)
隠れている机の上の花瓶が弾け飛び、水をまき散らす。机の角は銃弾で抉れ、窓はガンガン割れていく――が、もしや防弾なのか外に向かって破片が落ちていく様子はあまりない。
マフィアでもないのに事務所の窓が防弾とは、と若干引きつつ様子を見れば、探偵社の戦闘要員達がばったんばったん構成員達を倒していた。いつの間にか、悲鳴も凡てが敵のものに変わっている。
(一応国の特殊部隊並みの実力あったんじゃなかったかな、黒蜥蜴……。それなのにこれって……)
宮沢賢治君にいとも容易く吹き飛ばされた立原さん、与謝野女医にカウンターで殴られた銀さんに思わず同情の目を向けながら、却説私はどうしたものかと考える。
どう見ても戦況は探偵社側が優勢で、最早蹂躙の体となっているのだが、如何せん構成員達が乱発する銃弾が隠れている事務員達に中ってしまいそうである。それに私自身も戦える以上、このまま何もせずに隠れているのは気が引けた。
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霜夜華(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます!大好きと言って頂けて本当に嬉しいですヽ(*´∀`)ノ頑張って更新しますね! (2020年3月12日 7時) (レス) id: 647614d598 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - このシリーズ、本当に大好きです。続編も楽しみに待ってますね! (2020年3月12日 7時) (レス) id: 181d62af7c (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - (^ー^)さん» 誤字ですね!すみません、修正します!ご指摘ありがとうございますー( ´ ▽ ` ) (2019年12月12日 1時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
(^ー^)(プロフ) - 広津さんが弘津さんになってます。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: db654e8536 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年11月28日 1時