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9-2 ページ4

薄暗い路地裏に、黒装束に黒いサングラスをかけた如何にも怪しげな男達が集まっていた。壮年の男に軽薄そうな若い男、一見性別不明の小柄な人物を除けば、全員ぴたりと口を閉ざし、物々しい空気を放っている。

彼らはポートマフィアの武闘派の中でも過激な実働部隊、『黒蜥蜴』。マフィアの構成員の中でも精鋭の者が揃えられているだけに、その実力は国の特殊部隊にも引けを取らない。

そんな彼らが居るだけで張り詰めているその場の空気は、現在なお一層張り詰めていた。部隊の十人長である立原道造と銀の間にある一触即発の殺気によるものであるが――それはすぐさま、百人長である広津柳浪によって収められた。殺気には更なる強い殺気を以て制す。実力が凡ての黒社会においては当たり前のことだ。

そこでタイミング良く、広津の衣嚢(いのう)からピピピという電子音が鳴り響いた。先程の殺気などまるで無かったかのように、広津は耳に付けた無線を押さえる。

「集合した。それで、我ら三名がかりで潰す目標とは?」
『ご苦労です。目標は――武装探偵社の事務所』

無線の向こう、黒蜥蜴の指揮権限を持つ一人である樋口が低い声で告げると、広津は少々訝しげにした。

「探偵社?人虎ではなくか?」
『前回の失敗は、探偵社の容喙が原因――。同じ轍は踏みません。まずは護衛たる探偵社を殲滅します』

抑えた声から滲み出る憤りに気付いているのかいないのか。広津は少しばかり目を細めた。

「探偵社には、処刑人が居るそうだが……。彼女はどうする?」
『………』

数秒、まるで葛藤するかのような沈黙があり、樋口は何かを堪えたような声で答えを返した。

『……処刑人は確保してください。どんな手を使っても構いません』

樋口の押し込められたそれに広津は直ぐに気付くが、追求はせずに淡々と「他は皆殺しでいいか?」と問いかける。是の返事を得た後、直ぐに通話を切った彼は狭く切り取られた空を見上げた。

強力な異能を持つ処刑人を確保するのは至難の業だ。正面切っての戦闘であれば、当然広津達に勝ち目など無い。
だが広津は彼女とは度々言葉を交わす間柄であった為に、彼女が探偵社の中で彼らを殺す可能性が限りなく低いことを知っていた。故に確保は至難であれど、やりようはある。

「……外の世界に居る方が、幸せなのかも知れんがね」

一瞬もの悲しげな色が浮かんだ目はすぐさま冷徹なものとなり、彼は部隊を引き連れ行動を開始した。

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霜夜華(プロフ) - ミオさん» ありがとうございます!大好きと言って頂けて本当に嬉しいですヽ(*´∀`)ノ頑張って更新しますね! (2020年3月12日 7時) (レス) id: 647614d598 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - このシリーズ、本当に大好きです。続編も楽しみに待ってますね! (2020年3月12日 7時) (レス) id: 181d62af7c (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - (^ー^)さん» 誤字ですね!すみません、修正します!ご指摘ありがとうございますー( ´ ▽ ` ) (2019年12月12日 1時) (レス) id: fee3f25fa7 (このIDを非表示/違反報告)
(^ー^)(プロフ) - 広津さんが弘津さんになってます。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: db654e8536 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2019年11月28日 1時

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