過去の正体(拾伍) ページ44
…血を、わける?ーーーーーー私はハッとした。
前にお母さんが言ってた言葉を思い出したからだ。
鬼の血が体内に入ると、その人も……鬼になる。
自分の足元に横たわる″血をわけた″お姉ちゃんを見る。
するとすぐにさっきのさくらみたいな叫び声をあげ始めた。
「お姉ちゃん!!だめ!!鬼なんかにならないで!!!!」
涙で視界が歪む。必死に目から涙が溢れないように抑えた。
「ゔぅーーーっっ…ゔわぁあああ!!!」
次にお姉ちゃんがそう叫んだ時、そこにいたのは鬼だった。
手からは長い爪が伸び、目は充血したように真っ赤。
口からは鋭く尖った歯があり、額からは2つツノが。
よく鬼の形相、なんて言葉を使うけどまさしく鬼の形相だった。
「さすが!稀血は血に適応するのが速いなぁ!そこの女はまだ血を取り込めていないっていうのに。こっちはだめかなぁ」
鬼はまだ床に這いつくばって苦しんでいるさくらみてそう言い放った。
鬼の言葉にさくらの方に少しの間目を向けてしまったが、そんな暇は私にはなかった。
ものすごい叫び声と共にお姉ちゃんが私に飛びかかってきたからだ。
それを必死に避ける。
お姉ちゃんが鬼になった、どうしよう。逃げなきゃ。逃げなきゃお姉ちゃんにーーーーーーー喰べられる。
床についてた自分の膝と手のひらを離し、立ち上がる。
どうしよう。こんなに沢山の鬼相手に出来るの?私はこのまま鬼に喰べられて死ぬの?ーーいや、私も鬼にされる。
立ち上がると同時に顔を上げる。目に映ったのは。
「ーーー日輪刀…。」
部屋の隅にいつも飾ってあったお母さんの使ってた日輪刀。
私は刀に向かって走り、なんとか手に取った。
「はははっそんなの持ってどうするの?君はお姉ちゃんを斬れるのかい?」
その鬼の言葉にドキッとした。図星をつかれたから。
これはお姉ちゃんじゃない。これは鬼。だから斬っても大丈夫。ーーそう自分に言い聞かせる。
「無惨様。いかがれされますか?」
「その稀血の力を見ようではないか。私の力をどれほど扱えるのか。そいつを鬼にするのはそれからで十分だろう」
「御意」
無惨達は何かを喋っているがそんなものを気にしている余裕はない。
私は家から庭へと飛び出した。
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お茶犬(プロフ) - るんるさん» はじめまして。全然気づいていませんでした、教えて頂きありがとうございます!修正しました!褒めて頂けてとても嬉しいです!!頑張ります!またお時間ある時にでもお話読みにきてください(*´-`) (2020年11月4日 19時) (レス) id: 72156f6cb2 (このIDを非表示/違反報告)
るんる(プロフ) - すみません。炭治郎の字が違います,,,お話めちゃめちゃ面白いです!頑張ってください! (2020年11月3日 23時) (レス) id: 89ac41ad4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶犬 | 作成日時:2020年10月22日 23時