【降谷零】お兄ちゃんって呼ばないで【名探偵コナン】

Siblings：03 ページ4

「ぁッ…」

「はは、すぐ赤くなっちゃった」



本当、お兄ちゃんってば意地悪だ

まるで狙っているかの如く
以前付けられた痕が消えるタイミングで所謂、キスマークを上書きして来るんだから


自身が妹に咲かせた紅い花を見て
彼は満足気に笑んで怪しく目を光らせた



「…これ、隠すの大変なのに」

「へぇ？なら隠すの止めたらどうだ」

「零にぃ本気で言ってる？」



真意が分からず冗談とも取れない言葉に
眉を顰めてそっぽを向くと

おかしそうに笑う兄が器用に私のネクタイを結び、その出来栄えに若干複雑な心境に陥る



…私よりも綺麗な形だ


何だか悔しいのでトン、と彼の胸板を叩いたら
それはそれは見事なカウンターを喰らった



「は、はなしてよっ」

「公務執行妨害で逮捕しまーす」

「いま公務してなかったよね!?」



にこにこ爽やかスマイルでガバッと抱き竦められ、暫く兄による『全身固めの刑』という名の暑苦しいハグが処された



______




「いってらっしゃい」

「ん、いってくる」



程なくして出勤の準備を終えた兄が
玄関に立つと同時にビジネスバッグを手渡す


相変わらず重いなぁ…なんて、そんなとり留めもない事を思っていたらお兄ちゃんは「あ、」と声を溢した



「ごめん、今日遅くなる」

「そうなんだ…じゃあ晩ご飯はどうする？」

「家で食べる。でも眠くなったらすぐ寝ろよ？無理して待たなくていいから」



そう言って軽く髪を撫でる彼の手が
私の頭裏に回され額に小さなキスをして

次に瞼、鼻先、頬へちゅっちゅっと啄んでいく


最後に唇を重ね「はぁ…」と熱っぽい息をこぼすと
灼けつく様な瞳と視線がぶつかった



…私も、こんな目をしてるのかな



ゆらゆら憂いて揺れる瞳の奥に隠された真実を
私達は敢えて紐解こうとは思わない



「お兄ちゃんも無理しないでね？」

「あぁ、分かってる」



ぐっと腰を寄せられ
私もそれに応え彼の首に腕を回す


そうしてもう一度互いの顔を近付け、ゼロ距離へ



「んぁっ…」



二度、三度と唇を合わせれば
自然とより深いものを求めてしまう


息継ぎのため微かに口を開くと
待ってました、と兄の舌が口内へ侵入する



「れー、にぃっ」

「A…逃げるな」



つい腰を引いてしまうも
すぐさま取り押さえられ両腕を彼の片手で拘束される


形成逆転とはこの事で、さっきまで壁際にいた筈の兄はいつの間にか私をそこへ追いやっていた



…形成逆転と言える程、優位になれた事はないけれど

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