最期に君の声が聴けたなら。

【残り52週間】 ページ7

-A side-

ころちゃんは泣いている私をしばらく無言で抱きしめてくれていた。

すごく、すごく安心した。けど.........


ころん「A？落ち着いてきた？」

A「うん。ありがとう！ごめんね、いきなり泣きついたりして。」

ころん「Aが泣くなんて珍しいね.........。ねぇ、何があったか聞いてもいい？」


言わない方がいいのか、言った方がいいのか。
私は分からなかった。
言ってしまったらころちゃんは気を使うかもしれないし.........。

ころちゃんに限ってそんなことは無いかもしれないけど、お父さんみたいな事をされたらって考えると言うのが怖かった。



だから、私はいつもの癖がでてしまったんだ。



A「んー。ちょっとね、帰り道でお母さんによく似た人を見たんだ。だから、少し思いだしちゃって。」



平気でついた嘘。

へらっと笑った嘘の顔。

嘘が癖になってしまっている汚れた私。

そんな私に気づいていない君はいつもみたいに私には勿体ないくらいの優しい言葉をかけてくれるんだ。



ころん「Aの両親早くに亡くなったんだっけ…？前にちょっと聞いただけだけど.....」

A「詳しく言うとね、お父さんはまだどこかで生きているかもしれないの。」

ころん「え！？そうなの？どうして…会わないの？」



これを機に話してしまうのもいいかもしれない。

私の、私とお母さんの悲しい過去を。


A「少し、重い話になるかもしれないけど、聞いてくれる？」

ころん「当たり前じゃん。ゆっくりでいいよ。」


ありがと、とそう言って私は深呼吸した。





少し私の過去の話をしよう。

嘘にまみれた私になった理由も。

全てはあの出来事からはじまったんだ。




あれは.........



私の10歳の誕生日の事だった。

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