人生万事塞翁が馬【はじめしゃちょーの畑】 (ページ12)

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じゃあ、「また。」ページ12

それから少し経って、ともたかさんが服を持ってきてくれた

「Aさん〜服乾きやした〜」

「あ、すいません。ありがとうございます」

「いえいえ〜下で着替えて来ます？」

「あ、じゃあお風呂場お借りします…」

ーー

借してもらった少し大きい服を脱いで、自分が着てきた服に袖を通す。

すると、ふわっといい香りがした。

爽やかな感じのいい香り。
いい洗剤使ってんのかな〜

はじめさん達がYouTuberだと分かった今、家を見渡してみると、確かにYouTuberらしいものが沢山置いてあることに気づく。

ゴッホの絵……のポスターで埋め尽くされている壁もきっと動画の企画だったのだろう。

「はじめしゃちょーの…畑、か」

と小さく呟いたところでたなっちさんの声が聞こえた

「Aさーん大丈夫っすか？？」

「あ、すいません大丈夫です」

着替えに来てから割と時間が経っていた。
そんなにぼーっとしてたのか、、

急いで階段を上る。

「すいません無駄に心配させちゃって」

「この家建付け悪いとことかあるから閉じ込められてるのかと思いました。無事でよかったです笑」

「ポスター、見てました。笑」

「あーあのゴッホの…」

「たなーーっち！！Aさんを駅まで送るからそろそろそこら辺で！！」

「あ、すいません。って、だいちくんが送るんすか？」

「んー、1番俺が安全運転でしょ？」

「確かに笑じゃあ、頼んます〜」

「頼まれた！」

私が着替えてる間に、だいちさんが車で駅まで送ってくれることになったらしい。

ラーメンひとつでここまで優遇されるなんて…
有難いが、少し罪悪感が湧く。

「じゃAさん、行きましょ〜」

「はい。わざわざすみません」

「そんな固くなくていいのにー、って今言うことでもないんですけどね笑」

ーー

だいちさんの車はとても綺麗で、黒い車体はかっこよく光っていた。

私は後部座席の左側に座っていたので、ちょうど運転席の斜め後ろになる。

だいちさんは、信号で止まる度に後ろを振り返って「どうでした？？うちの畑」とか「敬語じゃなくても全然いいんですよ〜？」と話しかけてくれる。

そのおかげか特に気まずくもならず、直ぐに駅についた。

車を降りお礼をいうと、

「全然いいって！じゃあまた。」と笑顔で答えられた。

ほんとフレンドリーな人だなぁ…
笑顔も可愛いし…なんて。

また、か。
きっと「また」は来ないんだろうけれど。
それでも少し楽しみにしている自分がいた。