364) 金髪美人登場2 (You side) ページ14
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A「あの…ありがとうございます。助けて頂いて…」
「怪我は？何か盗られたものとか？」
お財布が入ったカバンも無事だし、紙袋が破れた程度。
A「大丈夫です。本当にありがとうございます！」
思い切り頭を下げると、さっきの氷のような表情が嘘みたいに聖母のような笑顔で笑っている。
「あいつらはこの辺では有名なチンピラで、綺麗なお姉さんを連れて帰っちゃう癖のある奴らだから。気をつけて？」
A「は…い」
まさか人通りの多い駅前で、こんな事になるとは思わなかった。
ケチらずにタクシーで帰ってれば良かったな…
「家はどこ？送るよ。ほら袋も破れちゃってるし。」
A「いえ！そんなわけには…タクシーで帰りますから大丈夫です！」
助けてくれたのはありがたいけれど、初対面のアナタも十分怪しいって！
そんな事思ってるのが顔に思いっきり出てたんだろう、その人は大笑いしだした。
「はははっ！そんなに警戒しなくても大丈夫！俺、こう見えて警察官だから。」
そう言ってスーツの内ポケットに入っていた身分証を見せた。
《キム ヒチョル》
「ね！怪しくないでしょ？行こ！滅多に乗れないよ。パトカーなんて。」
半分に破れた紙袋を奪うように抱えると、スタスタと歩いていってしまう。
いやいやいや、やってることはさっきの男たちと変わらないじゃない。
でも、警察官なのは間違いなさそう。
ジロジロと見る周りの視線も気になって、仕方なく付いていった。
*
*
*
ヒチョル「ええと、念のため名前を聞いても？」
韓国に来てパトカーに乗るなんて…
悪いことも何もしていないのに。
運転している制服の若い警察官は思い切り怪訝な顔をしている。
A「…まりです。」
フルネームを言うのはちょっと気が引けて。
ヒチョル「Aちゃん、日本人？」
A「…そうです。」
ああ、またか。
反日感情の強いこの国には、若い世代であっても、日本人だとわかると途端に態度が変わる人はまだまだ多い。
もちろん、そうじゃない人も沢山いるけれど、少なからず嫌な思いをすると事もあった。
ユノやジェジュンのように、全く偏見の無い人の方が珍しいのかもしれない。
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作者名：mari
| 作成日時：2020年3月8日 14時
