316) 過去のトラウマ（YN side) ページ16
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ずっと俺の胸の中に刺さっていたトゲが、すぅーっと溶けて無くなっていくようだった。
ユノ「ありがとう…話してくれてありがとう…二度と疑ったりしないよ。俺を信じてくれる？」
Aとの未来は俺にあると思っていい？
自惚れかもしれないけれど、天にも登れるような気分だった。
A「ユノが日本まで会いに来てくれた時…本当に嬉しかった。きつい撮影をなんとか乗り越えられたのもユノのお陰なの。だからそんな風に思わないで？」
ユノ「俺は何もしていないよ。とにかく会いたかった。一目でもいいから会いたくて。完全にストーカーみたいだな。」
A「ふふっ(笑) そんなストーカーなら大歓迎だよ。」
ユノ「俺がAの10個の望みを全部叶えてやる。その絵を見せてくれないか？」
A「その絵は…シウォンさんが持ってる。それに絵って言ってもラフなものだよ。」
ユノ「いいんだ。是非見たい！でもA、絵が描けるんだな。俺は芸術的な才能は全く無いから…羨ましいよ。今度俺の絵も描いてくれる？」
A「…」
急にAの顔が曇った。
ユノ「A？どうかした？」
A「絵は…もう描かないつもりだったのに…」
見る見るうちにAの瞳に涙が溜まってこぼれ落ちた。
※
※
※
突然泣き出したAの背中を擦りながら落ち着くのを待った。
ひとしきり泣いて
落ち着いた頃にはカーテンの隙間から陽の光が見え隠れしていた。
ユノ「…落ち着いた？」
A「…うん。ごめんなさい…」
ユノ「謝ることは何もないよ。俺に言ってスッキリするなら話して？」
Aは少し考えているようだったけど…部屋の壁にかかっていた絵を見つめて話し出した。
A「いつだったか…ユノが温かいと誉めてくれたあの絵は…私が描いたの。」
ユノ「そうなの？凄いな。俺は絵の事は本当に素人で何もわからないけど…あの絵はとても温かくて引き込まれる。Aらしい絵だね。」
Aの手を引いて立ち上がり、絵の前まで移動した。
白い壁に映える淡い色使いの水彩画。
いっぱいに描かれたカラフルな花たちと後ろ向きの子供がふたり。
あらためて見ても心がほっこりする。
A「この絵にはもう一枚の続きがあったの…」
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作者名：mari
| 作成日時：2019年5月16日 0時
