176)あの時のメモ<You side> ページ26
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タクシーで一旦自宅に戻った。
泊まりの仕事になるからって、お母さんには説明して。
勿論、ユノはタクシーで待っていてもらった。
お母さんに見つかったら朝まで解放してもらえないもんね。
母「ご飯は？」
A「ごめん、急いでるからいらないや。」
母「大変なのね。ちゃんとご飯は食べなさいよ！ チャンミン君も連れてきなさい。」
A「う、うん！ 時間があったらね！ 」
着替えと化粧品だけをバックに詰め込んで家を出た。
お母さんごめんね！
少し離れた所で待っていてもらったタクシーにふたたび乗り込んで
A「ごめんなさい。お待たせしました。」
ユノ「今度はちゃんと、お土産持ってきて挨拶するからね。」
こんな時でも私の両親の事を気にかけていてくれる。
本当に優しい人なんだと思う。
ユノ「さぁ、何を食べようか？ 何食べたい？」
A「ユノ、日本は久しぶりでしょう？ユノの食べたいものでいいよ。」
ユノ「そうだな。お好み焼きが食べたい。日本のお好み焼きは美味しいから。」
タクシーでホテルの近くまで戻ると、古い佇まいのお好み焼き屋さんを見つけた。
有名な店なのか平日だというのに混雑していた。
ユノ「わー！うまそう！」
テーブルの上にあるメニューをまんまるな目で見つめるユノが可愛い。
A「ふふっ…」
ユノ「なに？何笑ってるの？」
A「いや、可愛いなーと思って。」
ユノ「かわいくなーい！カッコいいって言って。」
A「はいはい(笑)」
セクシーだったり、急に可愛くなったりで、ユノのギャップには本当に驚かされる。
ユノ「好きなんだ、こういう店。なんか温かくて。」
A「そうだね。どれも美味しそう！」
ふたりで散々飲んで食べてお腹いっぱいになった時
「ふわぁー…」
小さな欠伸がでてしまい…
ユノ「眠くなった？そろそろ帰ろうか？」
A「うん。美味しかったね。」
ユノがポケットからお財布を取りだすと、ひらりと紙が落ちた。
A「あれ？何か落ちたよ？」
ユノ「わっ！それはっ！ダメ！」
慌てるユノを尻目に紙を拾うと
A「これって…」
《ありがとう》
それは初めて会ったあの時に私が書いたメモだった。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年4月19日 23時
