171)再会2<YN side> ページ21
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《これからタクシーでヌナを送り届けます。》
シムさんからメールが来たのは、買い物から戻ってちょうど部屋に着いた頃だった。
初めてのデートの待ち合わせみたいに心臓が高鳴って、カードキーだけ持ってタクシー降り場に向かった。
遠巻きに違う人がタクシーから降りるのを何台か見送って、その度にガッカリしながらAの到着を待つ。
こんな姿、絶対にドンヘだけには見られなくないと思いながら。
5台目のタクシーが降車場に入ってきて、女性らしいシルエットが一人だけタクシーから降りた。
Aだ！！
頭で考えるより先に足が進んでいた。
タクシーの扉が閉められて、開いた窓に向かって何か言っている。
窓からはシムさんの顔が見えた。
チラッとこちらを見て笑ったような気もするけど。
やがてタクシーはAだけを降ろしたまま走り去った。
おそらくシムさんからは俺の事を何も聞かされていなかったって事だろう。
呆然と立ちすくむAに後ろから声をかけた。
ユノ「A…」
聞こえていたのか聞こえていなかったのか、ゆっくりと静かに振り返ったAは
A「…っ」
驚いて声も出ないようだった。
駆け寄ってすぐにでも抱き締めたい衝動を抑えて、ゆっくりと距離を縮める。
Aの瞳はもう大粒の涙で溢れそうで。
ユノ「お疲れさま。」
余裕のあるふりをしてポンポンと頭を撫でた。
A「ほん…ものだ…」
夢だとでも思ってるのか？
ユノ「ふふ…確かめる？(笑)」
涙が溢れないように指で拭って、今すぐキスしたい気持ちを誤魔化すように抱き締めた。
Aの息が首筋にかかる。
すぅーっといつものように深呼吸をするから
それは駄目だって。
俺を煽るなって言っただろ？
ユノ「どう？本物だった？」
A「うん。間違いなくユノだった…」
ニコッと笑ったその泣き笑いの顔に、俺の理性は粉々に砕け散った。
ユノ「行こう。」
一刻も早く二人きりになりたかった。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年4月19日 23時
