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なみだ ページ37

ヒロ side






『景光…くん?』



目を開けると、Aちゃんの顔があった。

彼女の大きな瞳が潤んでいて、声も震えているように感じる。



「Aちゃん……泣いてる?」

『そうですよ泣いてますよ!!!だって怖かったし!!』



彼女の瞳からポロポロと涙が零れた。

オレは起き上がって手を伸ばすと、その涙を拭った。



『ここ、降谷くんの家だから。景光くんが倒れたあと電話で降谷くん呼んで、車でここまで来たの』

「うん、」

『その降谷くんは外出中。まだやることがあるって』

「うん、」



相槌を打ちながら、自分は生きて帰ってこられたんだと実感する。



また、Aちゃんに命を助けられたのだ。



「…ありがとう」

『え、』

「本当にありがとう。オレを生かしてくれて。もう、どうやってお礼していいか分からない……」

『景光くん…』

「大好き。愛してるよ」



自分の目尻に涙が溜まっていくのが分かった。



あぁもう、抱きしめてもいいかな。



『っ、ちょっと!?何、急に抱きついて…っ』

「生きてて良かった…。こうやってAちゃんを抱きしめられて良かった。Aちゃんが銃が上手くて良かった」

『そ…そうだよ……私けっこー頑張ったんだからね…?』



Aちゃんの声が更に震え、オレの肩に小さな雫が落ちる。

そして強く、抱きしめかえしてくれた。



『怖かった…!大雨に比にならないくらいホントに怖かった!あのメール見た瞬間、お父さんみたいに文章だけ遺して私を置いていっちゃうんじゃないかって思って…っ』

「…ごめん。怖い想いさせて、不安にさせてごめん」

『それに景光くんの大馬鹿って思った!!あんなに私の感情乱しておいてサッサと死ぬ覚悟してるなんて本当にムカつく!!』



でも、とAちゃんは呟く。



小さな声で、でもはっきりと。



『景光くんが生きていてくれて良かった……』



もうダメだった。

その言葉を聞いた瞬間、抑えていたはずの涙は頬を伝った。



『ねぇ、景光くん』

「…なぁに」

『景光くんの思惑通りで本当に悔しいんだけど…






私、景光くんのことが____』

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くるみ(プロフ) - とっても面白かったです (2023年10月6日 0時) (レス) @page47 id: dd662f3c96 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - はじめまして、景光くんの優しさや真面目さが大好きなので、景光くんの一途な思いに凄くときめきました。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月21日 3時) (レス) @page47 id: 8f97d5546c (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 足軽さん» コメントありがとうございます!大好きだなんて嬉しいです…!このお話が栄養剤になるなんて光栄です(笑)疲労をほぐして頑張ってくださいー! (2022年8月28日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
足軽(プロフ) - 大好きすぎます………栄養剤になりますありがとうございます………疲労によく効く…… (2022年8月28日 15時) (レス) @page1 id: 762e6989c9 (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 田舎ママさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて…!めちゃくちゃ嬉しいです!こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: 1888b997ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江良 | 作者ホームページ:**  
作成日時:2022年7月19日 22時

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