恋愛対象外だったはずの同期と再会したら、色気MAXになってた件。【諸伏景光】

お礼 ページ28

サイレンを鳴らしたパトカーに、手錠をかけられた田辺さんが連れこまれて行く。

籠石さんは先程保護され、事情聴取に向かったそうだ。



「Aちゃん、大丈夫？」

『景光くん…』



慌ただしい様子をぼうっと見ていた私の隣に景光くんが立った。

その顔には心配の色が浮かんでいる。



『……田辺さんの動機を聞いたら、色々考えされられちゃって』

「うん、」



わかるよ、と景光くんが頷いた。

大切な人を奪われたことのある彼だから、きっと私と同じことを思っているのだろう。



唇を噛みしめた私に、景光くんは優しく言う。



「亡くなった人は帰って来ないし、傷はそう簡単に癒えないよね」

『…うん』

「でも、まだ彼女は救われる未来がある。もちろん人の命を奪おうとしたことは庇えないけど、未遂で終わった」

『…うん』

「彼女は手を汚さずに済んだ。Aちゃんのおかげでね」



思わず顔をあげて彼を見た。

優しく微笑む彼は私を慰めているというよりも、褒めてくれてるような気がして。



『っ〜〜もう、景光くんって人に好かれやすいってよく言われない？』

「Aちゃんも好いてくれてるの？」

『ああもう、本当に調子が良いんだから！』



今も昔も私は景光くんに救われてるな、と思った。

もちろん本人に言うつもりはないけれど。

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