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ページ27

『っ………あ、れ』



目を瞑って覚悟したはずの痛みが一向にやってこない。



その違和感に顔をあげると、目の前には誰かの背中があった。



『っ、え』



誰か、じゃない。

私を助けてくれた人の正体は、ひとつしか思い当たらなかった。



『ひろ……緑川さ…』



緑川さんで合ってるだろか?いや、唯さんだったっけ?

恐怖と安堵で頭がぐちゃぐちゃになって、呼び方すら思い出せない。



ただ目の前にいるのは景光くんだというのは事実だった。



彼は田辺さんがナイフを持って振り上げた手をとめている。



「っ、手塚さんの次は緑川さん…っ?なんなのよ、なんで邪魔するのよ!」

「___いくらでも邪魔するよ。Aちゃんを傷つけようとした人なら、余計にね」



景光くんはいつもより低い声で告げるとナイフを叩き落とし、あっという間に田辺さんに技をかけて制圧した。



「Aちゃん、この人お願いできる?一般人のオレに犯人は扱えないからさ」

『う、うん…』



呆気にとられとた私だけど、ここでは景光くんは一般人だということを思い出して田辺さんを任された。

代わりに景光くんは、籠石さんを保護しに向かう。



「ごめん……ごめんお姉ちゃん…私、失敗した……っ。アイツに復讐できなかった……!」

『…仮に籠石さんに復讐できたとしても、お姉さんは帰って来ませんよ』

「わかってる!!!でもそしたら少しでも救われると思って……。
アイツが許せなかった!!!今も許せない!!一生許さないっ……!!!
お姉ちゃん……うぁぁぁあぁ……」



田辺さんの悲痛な叫びが部屋に響く。



私はそんな彼女を、見ていることしかできなかった。



どんな理由があっても人の命を奪ってはいけないし、未遂で終わったといえ田辺さんのしたことは許されないことだ。



でも。



私は田辺さんの気持ちを知っている。

大切な人を失った辛さや苦しみを。



田辺さんと同じで、籠石さんも許されないのだ。



『…………。』



どう足掻いたって救われない現実を前に、思わずうつむいてしまった。



でも私は警察官として、その現実に向き合っていかなくてはいけないのだ。

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くるみ(プロフ) - とっても面白かったです (10月6日 0時) (レス) @page47 id: dd662f3c96 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - はじめまして、景光くんの優しさや真面目さが大好きなので、景光くんの一途な思いに凄くときめきました。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月21日 3時) (レス) @page47 id: 8f97d5546c (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 足軽さん» コメントありがとうございます!大好きだなんて嬉しいです…!このお話が栄養剤になるなんて光栄です(笑)疲労をほぐして頑張ってくださいー! (2022年8月28日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
足軽(プロフ) - 大好きすぎます………栄養剤になりますありがとうございます………疲労によく効く…… (2022年8月28日 15時) (レス) @page1 id: 762e6989c9 (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 田舎ママさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて…!めちゃくちゃ嬉しいです!こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: 1888b997ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江良 | 作者ホームページ:**  
作成日時:2022年7月19日 22時

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