ふたりきり ページ14
『ほら、ちゃんと調理器具はあるんだよ』
「本当だ、揃ってるね」
『まぁ全然使わないんだけどね!』
私がドヤ顔で言えば、景光くんは「あはは…」と控えめな苦笑いをした。
現在地は私が住んでいるマンションの部屋。
景光くんが料理を教えてくれるというので、『小学校からなら私の家近いし、景光くんが良ければ私の家でいい?』と提案したのだ。
「でも普段料理しないなら何でこんなに器具揃ってるの?マンションの部屋買ったときについてきた?」
『ん〜ん、自分で買った。2年前くらいにきちんと自炊をしようと思って買ってみたんだけど…』
まぁ、結果はご想像の通り。
料理が下手すぎて、挫折してしまった。
『ま、お店のご飯とか冷凍食品とかも美味しいからいいんだけどね』
「そうだけど………毎日お店や冷凍食品だと栄養偏っちゃうよ?」
『うっ……わかってる』
そんな私に比べて景光くんは自炊して栄養バランス良い生活送ってそう…。
栄養バランスが偏ってるのは事実だから、私も生活見直さないとなぁ……なんて考えていると。
「そんなに悩まなくてもいいんだよ、Aちゃん」
『え…?それってどういう、』
「だってAちゃんがオレと結婚すればいいだけの話でしょ?
Aちゃん、オレと結婚したら毎日ご飯作ってあげるよ」
景光くんの手料理。
警察学校時代に食べさせてもらったけど、本当に美味しかった。
その時、料理してる景光くんが楽しそうで素敵だなぁとか思ったんだっけ…。
『ってちょっと!?私そんなのでオチませんからね!景光くんの手料理は大好きですけどさ!?』
「あは、そんな嬉しいこと言われたら今すぐ襲いたくなっちゃうなぁ」
『んなっ…!!もう冗談よしてよね!
もうほら、料理教えてくれるんでしょ?』
「あぁ、もちろん」
「……冗談じゃないかもしれないのに」
景光くんが私に聞こえない小さい声で、そう呟いたのだった。
1248人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くるみ(プロフ) - とっても面白かったです (10月6日 0時) (レス) @page47 id: dd662f3c96 (このIDを非表示/違反報告)
Rei(プロフ) - はじめまして、景光くんの優しさや真面目さが大好きなので、景光くんの一途な思いに凄くときめきました。素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月21日 3時) (レス) @page47 id: 8f97d5546c (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 足軽さん» コメントありがとうございます!大好きだなんて嬉しいです…!このお話が栄養剤になるなんて光栄です(笑)疲労をほぐして頑張ってくださいー! (2022年8月28日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
足軽(プロフ) - 大好きすぎます………栄養剤になりますありがとうございます………疲労によく効く…… (2022年8月28日 15時) (レス) @page1 id: 762e6989c9 (このIDを非表示/違反報告)
江良(プロフ) - 田舎ママさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて…!めちゃくちゃ嬉しいです!こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年8月19日 12時) (レス) id: 1888b997ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ