Ephemeral Joshua (ページ4)

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episode4 ページ4

直感的にそう思った。
パーソナルスペースに土足で踏み込んでくるような感覚。
初対面も同然なのに色々聞いてくる人は苦手だ

「…」
『僕もゲームやるよ。バーチャルもの』
「…バーチャル？何のやつですか」

ハッと気づいた時には彼と目が合っていた
今まで消極的だったのにいきなり食いついてしまった
というのも、私は今危機を感じているからだ
今度のゲーム内のイベントではペアを組まないといけないが、私は日々一人でしているため誰も組む相手がいない。
周りにゲーム好きはいないしその周りもそもそも母数がほぼない

『これ。』

スマホを横に向けて見せてもらった画面は見事私が愛してやまないバーチャルゲームだった
しかもこの人相当やりこんでるっぽいな…

「…あの、これ次のイベント。ペアはもう決まりましたか？」
『まだだよ。』
「…」

…察してはくれないだろうか。
自分から誘うなんてどうなのだろう
ちらりと視線が上にある彼の方を見るとニコニコと微笑んだまま首を傾げている
何でも思い通りになりそうな顔してるなぁ…

「…あ、あの。よかったらペア組みませんか？私も結構やりこんでるので足手纏いにはならないと思いますし…」

誘い言葉を早口で言って適当な口実を後付けした。
強く地面を叩く雨音にかき消されないようになるべく大きな声で。
バンビのような瞳を何度か瞬きさせ頷いた

『うん、ぜひ。ゲームだとチャットで話せるから楽だね』
「…そうですね。」

バンビ。そう登録されている彼のキャラクター。
ピンク頭の可愛いアバターが物騒なライフルを片手に持っている

「バンビ…」
『大学の中でゲーム仲間できると思わなかったよ』

バスに乗ると並んで二人でずっとゲームをしていた。
先に私が降りるまで、ずっと

私たちがプレイするこのゲームは基本の描写が細かく再現されている。
だがこの1ヶ月後、丁度私たちが親しくなるきっかけとなったこのゲームはアプリごと運営側から消去されることになった

実際に起きてしまったからだ。
オンライン上のペア同士での殺人が。

男女二人、会ったことのない二人が違う都市で変死体で見つかった

ゲームが悪影響を及ぼしたに違いないと連日ニュースで取り上げられ、未だに犯人は見つかっていない。