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「え?いやいやAが先に食べなよ」
目の前にフォークを差し出せば、少しびっくりした顔をして。Aにあげたんだから、なんて言われてしまった。
彼に向けたフォークを、そのまま自分に向けて、口に入れれば、ほのかに香る酸味と甘味と。やっぱりこのチーズケーキ美味しい。きっといいやつだ。
「ほんと。幸せそうに食べるね」
『だって。美味しいこれ。幸せだもん』
思ったままを話して。彼とも共有したくて、もう一度フォークに一口分を乗せて、彼の前に差し出せば、今度は大人しく口を開けて、口に入れてくれて。
目の前で見つめていれば、何でそんなにAが嬉しそうなの、って笑われた。
「ん、おいし。これ」
『ね!でしょ?』
「やっぱ俺が選んでるだけあるね」
『そうだねー』
「急に興味なくなるのやめてよ」
いつもの調子乗りがちな雰囲気をわざと流してみれば、頬を摘まれて、その行動にふふふって、そのまま笑ってみたりして。
お皿に乗ったチーズケーキを食べ進めながら、何でもない話を2人でして。平日もオフィスで会っていて、ほぼ毎日のように顔を合わせているのに、こうして何でもない会話がずっとできることは、嬉しいことだな、なんて。
「あ、A」
名前を呼ばれると同時に、拓司くんの右手が伸びてきて。唇の横に触れられて、少しくすぐったい。
私から離れた拓司くんの親指には、チーズケーキのかけらのようなものが、付いていて。え、はずかし、なんて思っていれば、親指をそのまま口の前に持ってこられて、ん、なんて目で促させるから、指に唇で触れて。
舌の上に乗った小さな甘味と、今自分がした行動への少しの照れか、恥ずかしさで顔があつい。
そのまま腰に手が回ってきて、拓司くんの方に寄せられて、背中に温もりを感じて。右側から軽く見上げるようにしてみれば、そのまま顔が近付いてきて。
触れる唇からは、少しだけさっきまで食べていたチーズケーキの香りがして。離れて至近距離で目があって、もう一度私から少しだけ触れるキスをすれば。
「なにもう、ご機嫌だね今日」
『美味しいもの食べたのでご機嫌です』
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仕返しバウムクーヘン / sgi→←ご機嫌なチーズケーキ / izw
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エンスイ(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!リクエストは受け付けているのですが、今書いているメンバーでいただけたらと思っており、tmrさんは私自身も雰囲気等あまり理解できていない部分もあり難しいかもしれないです……。今後機会があれば書かせてください…! (2021年2月22日 2時) (レス) id: 275b77238f (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ - はじめまして、いつも読ませていただいてます。リクエストなんですが、tmrさんを出来ますか?出来たらよろしくお願いします。これからも頑張って下さい。 (2021年2月20日 23時) (レス) id: 192c096d22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エンスイ | 作成日時:2021年2月17日 12時