一年前の告白を/瀬名泉 ページ20
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＿＿＿一年前の今日。
私の想い人＿＿泉先輩は他の3年生の皆さんとここを卒業していった。赤い華を胸元に咲かせ、笑顔で門をくぐっていた。
と言いつつも、卒業は形式的なもので卒業しても彼らはKnightsや他のユニットに所属してはいるのだ。
そして、私はあの日先輩に気持ちを伝えようとした。
Knightsでお祝いしていたところを、私は泉先輩を廊下に連れ出した。
色気があったものではなかったが、この機会は逃せないと、そう思っていたから。
いざ気持ちを伝えようとするとなかなか言葉は出てこなくて、心臓はバクバクしてるし、頭は上手く働かないしで泉先輩をイライラさせていた。
少なくとも私はそうだと思っていた。お祝いされてたのに呼び出され、なかなか話す様子もないのだから。
｢A｣
名前を呼ばれ、顔をあげると、先輩はイライラとは程遠い＿＿＿＿とても穏やかな表情で私を見ていた。
｢急がなくていいから、ちゃんと伝えて、｣
普段の先輩なら怒っていてもおかしくない状況なのに、彼はしっかり私の話を聞く気でいてくれた。それがすごく嬉しいと感じた。
そして次の言葉で私は驚きを隠せなくなる。
｢…と言いたいところだけど、今言われたら確実に俺がもたないから、言うのはあんたが卒業してからにしてよね。｣
｢…ぇ？｣
｢いい子にしてたら、卒業の日、王子様が連れ去ってあげるよ。｣
最後に彼は耳元でそう告げた。
そんな彼も今はモデル業とアイドルを兼任中。
夢ノ咲で培った色々なものを武器に、多方面に活動している。雑誌の表紙で顔を見るのも珍しくはないほどに。
そんなことを思い出している今日は、私たちの卒業式の日だ。私が転校してきてからの2年間すごく濃く感じた。
Knightsの集まりに行くと、凛月くんや嵐お姉ちゃん、レオ先輩や司くんがいた。
私が待っていた人はいない。今日も大切な撮影らしい。それは前々から聞いていたし、この集まりには期待していなかった。
けれど、あの最後の言葉は信じていた。
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作者名：enst青春合作 x他9人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月20日 21時
