鋭敏なるフリズューア/3 ページ15
ケラケラと笑いながら、朔間さんは電話を続ける。
「……んな固いこと言うなって。…………うん、そう、部室。……あはは、さんきゅー、宗。愛してる♪」
……?今なんか愛を囁く言葉が聞こえたけど、「しゅう」さんとは恋人さんとか何かなのだろうか。私いていいのかな……!?
「宗、すぐに来るってさ。良かったな〜、アイツが受けてくれるのは珍しいぞ?」
珍しいなんて言われても、そもそも「しゅう」さんを知らないので曖昧に頷くことしか出来ない。
その反応がお気に召さなかったのか、「んだよ、それ」と失笑された。
……と思えば、次の瞬間。朔間さんの顔が、目と鼻の先ほどの距離にあって、それを理解するなり「ぅえっ!?」みたいな素っ頓狂な声を上げてしまう。
恥ずかしい、なんて思ったけれど、彼はそこまで気にしていないようで私の髪を一房とると、クルクルと指の先で回し始めた。
「ん〜、俺的にはこれぐらいが好みなんだけど」
「どう?」と聞かれても、それどころじゃない。息遣いまで伝わってくるし、すっと通った鼻筋とか、きめ細かい白い肌とかが間近に見えて、もう、本当に、恥ずかしくて死んじゃう……!
「……零」
そこで、不機嫌そうな低い声が挟まれた。ぱっと朔間さんの体が離れ、彼は軽快に声の聞こえた入り口の方に歩いていく。
朔間さんの後ろから見えたのは、一人の長身の男子だった。
柔らかい色をした短髪に、神経質そうなラピスラズリの瞳。しかし、そんな端整な美貌より気になるのは首元の大きなフリルだった。……こ、この人がしゅうさん。女の人じゃなかった。
「宗〜。おはよう♪」
「おはよう、零。寝癖がついているぞ、如何なる時もアイドルとしての自覚を持って気をつけたまえ」
「お、さんきゅ。それでさぁ、早速だけどコイツの髪を切ってほしくて____」
にこにこしながら前髪を直し、彼に手を伸ばす朔間さん。ところが彼はその手を振り払い、右手を腰に当てた。
「僕は、零の髪を切るとばかり思っていたんだが?」
「んなこと一言も行ってね〜だろ?ほらA、行ってこい。終わったら戻ってこいよ〜♪」
「……っ、……!?」
「待て零、僕はそもそも了承していな__」
ぶんぶん顔を振る私に、食ってかかるしゅうさん。しかしそれを完璧にスルーして、朔間さんは無理やり私たちを追い出した。力強い。
「……全く、あいつは!」
声を荒げるしゅうさんに、私はただ頭をさげることしかできなかった。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました! (2017年10月29日 15時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか? (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます!とてもとても嬉しいです…!私もれいさんにプロデュースされたい!という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…!もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません!笑 続き楽しみにまってます!更新頑張ってください! (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜!ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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