Marionnette・biote/2 ページ7
始まる。
幕があがり、三人の人影が寄り添って立っている様子が見えた。周りの観客が息を飲む音が、はっきり聞こえる。
ぱっとスポットライトが宗さんを照らした。その瞬間、まるで1コンマの単位まで計ったかのようなタイミングで、彼が喉を震わせる。
『〜♪』
それは、一言でいうなれば、圧倒的だった。ずしんと心臓に落ちるような、荘厳な声。
そんな彼の姿に固まっていると、次のフレーズで入ってきたのは仁兎さん。黒と赤を基調とした豪華な衣装に、彼の金髪がよく映えている。ふわりと包みこむようなソプラノに近い声色は、ひとつひとつの文字を繊細に、大切に紡ぎあげていた。
「……すごい」
これが、アイドル。表情が、普段よりずっと生き生きしている。
舞台の上に立っている彼らは無敵だと思った。まるで、自分たちが世界の頂点だと主張しているようで＿＿。
……と、そこで私の目は、二人の後ろで踊るみかくんの姿を拾った。
彼は、歌っていなかった。いつか話したときに、バックダンサーしかやらせてもらえない、と零していたことを思い出す。
それでも、二人と舞台に立っている彼は嬉しそうだった。
素人目だからかもだけど、みかくんのダンスも決して二人に引けをとっているとは思えない。だって私なら、出来損ないのロボットみたいな動きしかできないだろうし。
舞台に立つみかくんに尊敬を覚えてじっと見ていると、ふと目があった。瞬間、お人形みたいな表情だった彼の目がほんの一瞬だけ見開かれる。……私のこと、覚えてたのかな。
その瞬間、ゆいちゃんに肩を掴まれた。
「ねえっ、Aちゃん！今みかくんこっち見たよねっ……！」
周りに配慮しているのだろう、ひそひそ声な彼女だけれど、興奮を抑えきれないのか私を揺さぶってくる。こういうとき、何ていえばいいかわからない。けれど、さりげなく名前で呼んでもらえたことが嬉しかった。
「あ〜、楽しかったねー！」
帰り道、大きく伸びをしながら笑うゆいちゃんに、私は必死に頷く。本当に素敵だったね、すごかったね、って感想はいくらでも浮かぶのに、言葉にならない。
ゆいちゃんの話に頷いているうちに、分かれ道にきてしまった。
「今日はありがとう！楽しかったよ、Aちゃん！」
「わ、私も……ありがとう！」
手を振るゆいちゃんに、手を振り返す。しばらくして、彼女が見えなくなってから、私はゆっくり手を降ろした。
……楽しかった、はずなのに。
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萩(プロフ) - まめだいふくもちさん» まめだちふくもちさんが見てくれてるなんて(涙)。最初コメント見た時に変な声がリアルに出ましたw。ありがとうございます。もう、本当に、夢主ちゃんにお伝えください。草葉の陰から応援してるよ！…と。 (2019年8月27日 22時) (
レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 萩さん» 萩さん、コメントありがとうございます。夢主ちゃんの味方をしてくれる方がいて夢主ちゃんも嬉しいと思います……！ここで言うのもアレですが、私も萩さんの作品を楽しみにしております。お体に気を付けて、更新頑張ってください。 (2019年8月26日 20時) (レス) id: 59bafee163 (このIDを非表示/違反報告)
萩(プロフ) - ごめんなさい、これだけ言わせてください。零さんかっけぇ。零さんの言葉ひとつひとつが重くて、夢主ちゃんにはとても大切なことなんだなと思いました。夢主ちゃん！頑張れ！私は！君の味方だぞ！(大声) 毎日この話を読んでは癒されています。これからも頑張って下さい (2019年8月25日 22時) (レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 厘さん» コメントありがとうございます！夢主ちゃんの成長を温かく見守ってあげてください。同じ奇人Pにコメントいただけて嬉しかったです、ありがとうございます〜！ (2019年8月13日 17時) (レス) id: 59bafee163 (このIDを非表示/違反報告)
厘 - …神様ですか？いや、神様ですね。ネガティブな女の子の成長とか見るの好きですし、三奇人の人達も大好きなのでこの作品に出会えて良かったです！熱中症に気を付けてお過ごしください、応援してます。頑張ってください！！ (2019年8月12日 21時) (レス) id: 4d8a897ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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