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序 ページ1
雪の日に絵を描こう
「兄者、気分はどう?」
「んー、元気」
そ、と俺は小さく呟くようにして血のパックを手に取った。
現存するアンドロイドの中で最も型の古いうちの“兄貴”の命はもうそう長くない。
彼の中の生命維持装置、体を流れるブルーブラッドを精製し直す部品が壊れてしまい、兄者の体は
定期的に新しい血と入れ替えなければ、正常な動作をすることはできなくなってしまった。とはい
え、もう今現在流通している部品では新しすぎて兄者を治療することができないので、どこかが壊れ
たらそのまま壊れっぱなしでいるしかない。悪いところは極力触らず、これ以上悪化しないように
ゆったりと過ごす。まるでホスピスみたいだろう?
この家は俺たち二人だけが住んでいる。ものは必要最低限しかないしまるで人間が住んでるんじゃ
ないみたいな殺風景さだ。昔、父さんと母さん、俺と兄者が住んでいたころとは大違いの色のなさ
だ。決して嫌いではないんだけど。
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作者名:榎本 | 作成日時:2018年8月13日 23時