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69/恩を売りに、 ページ19

*

 にぃ、と。我々国唯一の人間の使用人である彼女が"下手だ"と称した笑顔で、グルッペンは幹部らに目配せした。
それを受けたトントンは、やれやれと内心溜め息を吐きながら、自分が縛り上げている重役であろう人物の急所を殴打する。
その男はずるりと床に崩れ落ちた。他の重役たちも皆、同様である。

 後には、グルッペン以下幹部らと、サヴァン公国の元大公のみ。
グルッペンは床にのした宰相らを一瞥して、元大公に声をかける。

「こいつらの始末は君に任せよう、元大公殿」

「………」

「後は、新しく大公を立てるもよし、君が大公に返り咲くもよし。好きにしてくれ」

「……何故、ここまで――」

「おっと、勘違いはしちゃ駄目だゾ」

 踵を返しかけた彼は、立ち止まってまた、笑顔を見せた。


「我々は何も善意でやったのではない。今日ここに来たのは気分転換も兼ねて―――恩を売りに来たのだ」


「……っ」

 ひえぇ敵に回したくねぇ、とおどけて言う声など耳に入らない。
元大公――後に再び大公の座に就く男は、去っていく背中を見つめながら不恰好にも口角を上げた。

「……宰相よぉ」

 返事などこない相手に、話しかける。

「あんたはいつも、あの小さな国に手を出さないでいる俺を愚鈍だと罵ったが――」

 床に倒れ伏す、自分以外の何十人もの国民たち。たった、数人の手で。


「――ありゃあ、勝てる見込みがねぇっつの……」


 彼らが残していったのは、見た目には何の変哲もない焼き菓子だけ。
たったそれだけでも、彼らの報復の理由には充分過ぎたのだ。

*

70/出迎えには、→←68/裁きを。



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江之子(えのこ)(プロフ) - ささん» 初めまして、コメントありがとうございます。最新話のみならず読み返しまでしていただけるとは…。どうぞ、これからも長々とこの作品をご愛顧してもらえたらと思います!応援感謝です。 (2017年6月6日 16時) (レス) id: d4b2bfad59 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。えのこ様のお話が大好きです。最新話を追いつつ初めから読み直しては楽しませてもらっています。これからも応援しております! (2017年6月6日 15時) (レス) id: 91a8ff52f5 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ahirudokuro112さん» コメントありがとうございます。毎日気にかけてくださるほど印象を残せたこと、一書き手としては嬉しいばかりです。それをこうして文字にして伝えてくださったことをとてもありがたく思います!今度とも、どうぞよろしくお願いします。 (2017年6月4日 0時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
ahirudokuro112(プロフ) - 初めてコメントさせてもらいます。いつもとても楽しく読ませて貰ってます。気づけば毎日朝と夜に更新されてないかチェックするのが日課になってます笑。ぜひこの気持ちをお伝えできたらとコメントさせていただきました。 (2017年6月3日 23時) (レス) id: f8fb3df520 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - 井戸らさん» コメントありがとうございます。私の場合、気が付いたらこんな文体になってまして、くどいかな…とドキドキしながら書いてる面があるのですが…。それを褒めていただけるのは何より嬉しいです。今後もお楽しみに! (2017年5月27日 23時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江之子(えのこ) | 作成日時:2017年5月22日 1時

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