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39/小さな棘を、 ページ39

*

「さて……貴国とこうして会話の場を設けるのは、久方ぶりになりますね。以前お話したのは別の方だったかと記憶しておりますが、担当の方はお代わりになったようで」

「えぇ、まぁ。以前の外交官は辞職しましてね、現在は私が外交を取り纏めているのですよ」

「そうでしたか。まぁ、何年も前のことでございますからね、そういうこともありましょう。いや、不勉強で申し訳ない」

「……いやいや、構いませんよ」

 すでに外交は始まっている。
表面上は笑顔を貼り付けて、和やかに見せかけた言葉の裏に、小さな棘がいくつも仕込まれているのだ。

 要するに、「何年も交流はなかったのに今になって何故」。それから、「貴国にそれほど興味もない」といったところか。
流石に大公が代替わりしたことは周知のことだろうが、上層部が一新されたのを下手に口には出せないだろう。裏を返せば、国が不安定であることになりかねない。

 トントン様が発言する様子は今のところないが、オスマン様は初手で牽制を図った訳だ。抜かりがない。

『……失礼いたします』

 ふと会話が途切れた瞬間を見逃さず、私は紅茶と菓子をテーブルに並べる。
ふわりとほのかに甘い香りが匂いたつ。相手方――クリスフォード外交官も、ほおと息を吐いた。

「これは……うちの国にはない珍しい香りがしますな」

「左様ですか。実は、個人的に紅茶にはこだわりがありましてね。気に入って頂けると嬉しいのですが……馴染みがない香りは、お嫌いですかな?」

「とんでもない、素晴らしい香りだ」

「それは良かった」

 そう言って、オスマン様は真っ先に紅茶に口をつけた。こうすれば、相手は安心して飲めるからだ。
今日は流石に砂糖を入れることはしなかった彼だが、一口飲むと少しだけ目を瞠って私に視線を寄越した。
実は、彼の紅茶にだけ予め角砂糖を混ぜておいたのだ。四つ……は流石に今後止めていただきたいという願いを込めて、三つ。

*

40/焼き菓子。→←38/外交。



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江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。1話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江之子(えのこ) | 作成日時:2017年5月9日 0時

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