2#使用人 ページ4
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この城内で働く使用人は、ざっと数えて三十人程度。
いくら人工知能といえど、エーミール様の研究の賜物か、彼女らの容姿には一人一人違いが見られる。
見た目だけでいえば、人間と変わりない。個々に名前があるし、そこで過ごした記憶がある。会話だって出来る。
ただ、感情がないだけ。
プログラムされたこと以外に、行動が出来ないだけ。
彼女たちは機械だけれども、城内で彼女らをないがしろにする人物は居なかった。
居たとしても、それは罪とされて何らかの形で罰されるからだ。
これを生み出したエーミール様は凄い人だ。
何の目的で彼女らを創ろうと思ったか、それは私なんかでは思い至らないけれど、その成果を形にした。
人工知能の存在は、城外では基本口外厳禁とされる。それは、私でも何となく理解できる。
進んだ技術は、どこだって手に入れたがるものだ。
ましてや人工知能など、このまま研究が進めば、遅かれ早かれ、いずれ兵器となるのは目に見えた。エーミール様の真の目的も、あるいはそこなのかもしれない。
今はただ、そこまでは技術が追い付いていないだけなのか。
少なくとも現時点で、人工知能は"使用人"の域を出ていないのだった。
「リズ、アリアナは書庫の清掃を。コルネ、グリッサ、Aは浴室の用意を」
使用人長と位置付けられたローラが指示を飛ばす。今から午後の仕事だ。
指示を受けた使用人たちは、一様に返事をして動き出す。
「では、残りは夕食の用意を」
最後の言葉が終わったとき、オロオロと立ち往生する姿など一つもなかった。
初めこそ戸惑ったが、もう慣れたものだ。私は一緒に呼ばれたコルネ、グリッサという使用人たちと共に、浴場へ向かう。
その道すがら、前方から歩いてくる人があった。
「――せやからな？ 俺だって頑張ろうとしてんねん」
「大先生はその努力が報われんからなぁ！ 無能やから！」
「シッマ声でかいわぁ」
「その前に、大先生ホンマに努力してんの？」
「なんやと？」
この国で、幹部と呼ばれている三人である。
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夜風−yorukaze−(プロフ) - とても面白くて、サクサク読めます！これからも頑張ってください！ (2020年4月26日 17時) (
レス) id: 58cfefca5b (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。１話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2017年5月9日 0時
