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25/お礼に、 ページ25

◆◇◆

 書記長室の扉を叩くと、すぐに入室を促す言葉が返ってきた。
その先には当然、相も変わらず書類に囲まれて、忙しなくペンを動かす書記長の姿が。

『……トントン様』

「ん?」

 手を止めさせることを申し訳なく思いつつ、控えめに名前を呼んでみる。
顔を上げた彼は、あ、と彼に似合わない気の抜けた声を洩らして、それから眼鏡のブリッジを上げた。

「……どうしたん?」

『……これを、お渡ししたく、お伺いしました』

 若干どもりながらではあったけれど、彼は私の手元にある紙袋を見て察したか、立ち上がりこちらへ歩み寄った。
受け取った紙袋の中身を覗いて、その目元がやんわりと緩んでいる。

『昨日はありがとうございました。今はこれくらいしか、お礼が思い浮かばず……』

「何や、それでわざわざ買ってきてくれたんかいな。気にせんでもえかったんに」

『いいえ、そういう訳には。トントン様にも……もちろん、総統様や他の方々にもお世話になっておりますので』

 大っぴらに出来る会話ではないため、自然と声が小さくなる。
距離が近いことも相まって、何か秘め事を囁いているような気分。あぁ、確かに秘め事ではあるのだけど。

「こちらこそありがとうな。聞いてんで、初の城下やったんやろ」

『えぇ、とても良い街でございますね。ついつい、はしゃいでしまいました』

「せやろ、ええところやねん」

 何も言い繕う必要などない本心からの言葉で、トントン様はさらに表情を緩めた。
自国を尊ぶ愛国心がひしひしと伝わってくるその態度に、一種の感動さえ覚える。

*

26/赤い双眸が、→←24/中身は甘味。



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江之子(えのこ)(プロフ) - wlthzさん» コメント、ご意見ありがとうございます。一言についてですが、このスタンスをとれるのも紙媒体の小説にはないサイトの魅力だと考えていますし、これを気に入ってくださる方も居るので、今後は思いついたときに挿入するスタイルに変更しようと思います。 (2017年7月24日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
wlthz(プロフ) - コメント失礼します。1話終わるごとに挿入される一言で興が削がれます。物語自体は面白く読ませて頂いているので、そこだけが少し不満です。 (2017年7月24日 19時) (レス) id: 45eb196b6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江之子(えのこ) | 作成日時:2017年5月9日 0時

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