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あー、やっぱショックだな。


「Aさん……」


「類のあの目怖かったなぁ…」


司「初めて会った奴には基本あんな感じだったら」


「そーか?なんかもっと冷めた目だった気がするけど」


司「……」


しれーっと、視線をそらす司にため息がこぼれる。
図星だな。


司「まっ、大丈夫だろ。そのうち記憶戻って泣きついてくるって。で、お前この後どーすんの」


「俺もっかい病室行ってくる」


司「じゃ、俺一旦帰って飯食ってくるわ」


牧「わ、私も」


「りょーか…」


「いてっ」


了解と、返事をする前にカタンと何かが落ちた音と、声がした。
振り返ると松葉杖をついた女の人が転んでいた。


「大丈夫か?」


「うわあ!ありがとうっ」


司「じゃ、A。またな」


「あ、うん。また」


そそくさと退散して行く司と牧野の背を見送る。


「超イケメンッ。隣の人彼女かな?」


「うん。そーだよ」


「あなたも綺麗な顔してるねっ。なんで病院にいるの?」


「え?あ、ありがとう。俺の…大切な人が入院してんだ」


「…ん?恋人とか?」


「…まぁ。…ちょっとごめんね。病室行ってくるから」


俺と付き合ってる記憶がない類に、類は俺の恋人だと言ってもいいのだろうか。
はっきり言うことができなくて、「じゃあ」と逃げるように方向を引き返す。


「あ、ねえ!あたしあと1週間ここにいるの。
また会ったらおしゃべりしよ。
ここ退屈なのよー」


「また会えたら!」




ちゃんと類の両親に報告できるように。
類が忘れたことなんか、笑い話になるように。
きっと類の根本は変わってないから。

自然の足は駆け足になっていた。


ばん!息が切れる。深呼吸して落ち着く。


「あのさっ!」


うっ、初めて向けられる冷たい目。


「あの…俺、類と幼馴染なんだ。
思い出せないかもしれないけど……、また来るな!だからまた明日!」


「……」


眠そうに目をこする類。
俺は手を振って、扉を閉める。

震える手を握り締める。
今でも信じられないけど。
類に俺を思い出して欲しい。
けど類はおれをしらないから、まずは知ってもらうことから始めないと。




類「……変な人」

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悠人(プロフ) - レイナ丸さん» ありがとうございますTT なんて最高級な褒め言葉なんだ!! (2019年7月3日 0時) (レス) id: 64b118ada9 (このIDを非表示/違反報告)
悠人(プロフ) - クロりんごさん» 全く同意です(・・;) (2019年7月3日 0時) (レス) id: 64b118ada9 (このIDを非表示/違反報告)
悠人(プロフ) - みかんちゃんさん» コソッ(・Д・)ノ[続編] (2019年7月3日 0時) (レス) id: 64b118ada9 (このIDを非表示/違反報告)
レイナ丸(プロフ) - 海ちゃん、きみは全読者を敵に回した。そして作者様貴方もこんな素敵な作品を作るだなんて罪な人!更新楽しみです!カバディしながら待ちますね!! (2019年7月2日 15時) (レス) id: 0d2b714c98 (このIDを非表示/違反報告)
クロりんご(プロフ) - やっぱ海ちゃん性悪だなぁ……ひええええ (2019年7月2日 14時) (レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠人 | 作成日時:2019年5月5日 20時

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