呆然 ページ22
ガチャン。
それから何分…何時間経ったかわからない。
ただ、呆然としていた。理解ができなかった。
「斎藤さん…」
「頰が腫れてしまってますね…これで冷やしてください」
開かれたドア。
これで逃げたら斎藤さんの責任になって、追い出されちまうんだろう。
幼い頃に一度、何も知らなかった俺はその場を勝手に離れたことで仲の良かった執事を貶めてしまったことがある。
あぁ…、お見合いの日まで逃げ場はないんだな。この年齢でお見合いは実質、結婚するようなもんだ。
「斎藤さん、お見合いっていつなの」
「1週間後だそうですよ」
「そっか…。随分急だね」
「…旦那様は急かしておられるようです」
「俺…、類と、みんなともう会えないの？」
いや、『理解できない』んじゃない。
理解したくないんだ。
「……ッ」
あぁ、違うな。
これから会う、何処の誰かもわからない人と、結婚したら会えるのか。
『自分の選んだ女とは所詮結婚できない』
その言葉が重くのし掛かる。
男なんてもってのほかなんだ。
類と離れることなんて、考えたくもなかった。
それが今…。
とうとう、俺の自由が制限される時が来たってわけね。
幼い頃から口煩く言い聞かされてきた。
『長男として』
『責任ある行動を』
『これはお前の為でもあるんだ』
それが嫌で、家を出た時に縁を切ったつもりでいたんだ。
俺には期待なんかしないでくれと。
まぁ…、所詮俺は高校生だ。
家賃だって学費だってすべて親に頼るしかない、ただのガキなんだ。
親が示す道しるべを歩くしかない…のか。
「嫌だッ…」
「A坊ちゃん…」
今まで大人しく従って来たけど、
「痛い…ッ」
心が張り裂けそうだ。痛い。
みんなと離れるのが、こんなに急に訪れるなんて。
嫌だッ。
斎藤さんは何も言わず、俺を包みこんだ。
温かい…。涙が頬を伝った。
俺は首にかかったお揃いの指輪を、誰にも奪われないようにしっかり握りしめる。
これだけは…、絶対に。
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悠人(プロフ) - なるさん» わーー！！よかったです！！Rタグ付いてしまったのでもしかしたらコメントも見れないかもとドキドキしてました(~_~;)一気に…だいぶ長編なのにありがとうございます^ ^ カラットさんですか！確実に趣味が合いますねㅋㅋ楽しんでいただけると嬉しいです！ (6月12日 23時) (
レス) id: b1a7650ccc (このIDを非表示/違反報告)
なる - 悠人さん» 別端末から失礼します！わざわざリンクを貼っていただきありがとうございます！見れるようになったので一気読みしました！海ちゃんのところは自分も胸が痛くなりました…！悠人さん最高の作品をありがとうございます！セブチも好きなので読みます！ (6月11日 22時) (レス) id: 984f7da6fe (このIDを非表示/違反報告)
悠人(プロフ) - なるさん» トップにリンク貼りました！Rタグで見れてない可能性もあるのでRでも閲覧出来るようになってるか確認をお願いいたします^ ^ (6月11日 17時) (レス) id: b1a7650ccc (このIDを非表示/違反報告)
なる - 一話どこにありますか、、！ (6月10日 12時) (レス) @page3 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
賢志郎（りん）(プロフ) - 1話がどこにもない (2020年3月28日 15時) (レス) id: 66de5526d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠人
| 作成日時：2018年10月7日 8時
