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スガさんが寝てしまった。
そりゃ深夜だし、眠いのだろう。
肩に寄りかかり、静かな寝息をたてる姿は子供のようでもあるが、お兄さんのようでもある。ふわふわとした綺麗な髪が首にかかってくすぐったい。

そしてふと、声がした。

「スガさん、寝ちゃったの?」

前から。姿は見えないけど、小さな声から寝ている人への気遣いを感じる。相変わらず、柔らかい縁下くんの声。

「うん、夜遅いもんね。」

縁下くんも眠いかも。そうは思うも、話しかけてくれたのはあちらだからと言い訳をする。実のところ私も眠気で思考が回らないのだ。昨日早く寝たけれど、学校から帰ってきてからご飯やお風呂。寝たのは9時。起きたのは0時だから、睡眠時間三時間。中々きつい。

「和澄は眠くない?」

「眠い、かな。」

「だよね…バス、隣だと良かったんだけど。」

「…うん、私もそう思ってたよ。」

ふわふわとした雰囲気。会話。姿が見えずに聞こえる、柔らかい声。小声。恐らく、私たち以外が寝ている空間。そのすべてが嬉しくて、安心して、幸せだ。

「和澄、なんか嬉しそう?」

「…そうかな?」

「俺のこと、好きになった?」

またこの冗談。心臓に悪いのでやめてほしいが、そういう冗談も笑い飛ばせてしまうほどに彼は大きな存在だった。

「縁下くんも、嬉しそう。逆に好きになってもいいんですよ?」

そんな冗談の言い合い。
「なっちゃうかもね」と冗談めかす縁下くんは普段のしっかりさとはまた違った素敵さである。まあそれよりも、なっちゃうかもねに動揺する私もいるんですけど。
嗚呼、眠気。
きっと安心してしまったからだ。

「和澄は×××××××××??」

嗚呼、無理。
もう寝てしまう。
最後に見たのは心配そうに覗き込む縁下くんの顔。そして「寝ちゃったか」という笑い混じりの柔らかい声と「おやすみ」と私の頭を撫でる優しい優しい手のひらだった。
これは、東京に行く前にゆっくりした話をできた、つかの間の幸せである。

都会、東京→←助け船



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設定タグ:縁下力 , ハイキュー , コンタクトるり江   
作品ジャンル:恋愛
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桜餅(プロフ) - 素敵な作品でした、縁下くん罪な男ですね。 (2021年4月5日 17時) (レス) id: 7911da50c3 (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - 縁の下くん私も好きです!更新頑張ってください! (2019年11月9日 16時) (レス) id: 3635743cb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コンタクトるり江 | 作成日時:2019年10月28日 21時

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