慧眼と金塊 5

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____姉さん
ねぇ、起きて___


『………海？』


パッと目を開くと
目の前は向日葵がいっぱい咲いていて……

なんだか''懐かしい''ように感じる




___覚えてる？ここ
一度屋敷を抜け出してさ、____



そうだ

私が中学生、弟が小学生ぐらいの時に
家が嫌で親の目を盗んで金をひったくって
飛行機のチケットを取って




…………………どこに、行ったんだっけ




____懐かしいね___


『……海？どこにいるの？海？』


さっきから声はするのに
海の姿が見えない



夢でも良いから姿ぐらい見してよ
それぐらい、許してよ


___2人で暑い中、
向日葵畑を走り回ったよね____


『はぁ、はぁ、』


声のする方へ走って走って

それでも海の姿は見えない



___あの時だけは全部忘れられたなぁ___


寂しそうな声
早く、早く………お願い、

姿を見せて



___また、ここに来たかったからさ
姉さんの夢の中で行けて、良かった___



『海……海……ッ！』


足がもつれ
ﾋﾞﾀﾝｯ と地面に転がる



(みじめだ、)


泥だけになった膝を払い
ぐるっと向日葵畑を見渡す



綺麗な黄色の絨毯のように見える向日葵畑
雲1つ無い快晴の空
気持ちの良い風


あったかい、太陽のような匂い






(そうか)







もう、そこにいたのか




＿＿＿＿また、会える？＿＿＿



『もちろん』



＿＿＿＿ふふっ＿＿＿＿＿





向日葵の葉と葉がこすれて


微かに波のような音をたてていた。

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