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目が覚める。隣にある温もりにぐっと距離を寄せると、それも僅かながら寄ってきてくれる。
風邪かなとか言ってたけど、やはり疲れからのやつっぽい。おでこに触れたら寝る前よりだいぶ下がってた。今日も10時からのアフレコが彼女には待っている。俺もダンスレッスンとゲームボイス収録が午後からあるし、そこまでゆっくりはしていられない。
頭に触れてるこの時間がたまらなく好きだ。この前それを告げたら「なんの好きですか、それ」と笑われた。「好きは好きなんじゃないの?」と適当に返したが、それから向こうも撫でられることに嬉しさを感じてくれるのか擦り寄ってくれることが多くなった。
俺が甘える方だと思ってたけど、そうもいかないらしい。困ったなぁ、なんて頭の片隅で考えてからゆっくりと起き上がった。
「…せつ。」
「…」
「節菜。」
「…んぅ……」
「…11時だよ。」
「…えっ…!」
隣にあるスマホを掴み、画面を開く。7:55の文字に固まるので「嘘、おはよう。」と笑った。
「…心臓に悪い起こし方しないでください…」
「丁度いい時間でしょ、はい起きた。ご飯作るから着替えなよ。」
「ん〜〜〜あと5分寝れた〜〜〜」と布団の上で転がる彼女を笑って、先に洗面所へ向かった。
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作者名:東城つばさ | 作成日時:2021年7月24日 0時