検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:30,768 hit

217 ページ28

「…あの、もう一度いいですか」

「騒がしい、でしょ?」

はぃ……と尻すぼみになる返事と隣でため息をつく榎木さん。

私は今、実家のドアの目の前にいる。


.

遡るは秋笛生放送が終わり、私の車で榎木さんを自宅へ送っている時。年末だしオフはいつから?という在り来りな話題となった。

「29から2日ですね。割と長めに貰えて。」

「俺30からだわ…。…実家?」

「ですかねー。一応長女だし、親戚でもこの年齢の子いなくって子守りが大変なので…」

いつもの事だし仕方ないんですけど、と呆れ笑い。子供のお世話とおじ様とのお酒の付き合いは慣れたものだし、これ多分去年もそんな話した。濱くんにだと思うが。

「…ふーん」

「ちょ、露骨に不機嫌になるの辞めてくださいよ」

「ずっと帰るんでしょ?」

「…まぁ」

「………着いていく」

え?

「…挨拶、行く」

.

「…………あの」

「ドア、開けないの?」

あまりにも嫌で、玄関の前にて5分経過。騒がしいですよ、と繰り返すbotになりつつある。それはまずい。

「…あーーーーー、腹括りますけど…」

感じ取っているのだ。帰る日付と彼氏がご挨拶に〜と言うのはそれとなーくメッセージに添えた。すると既読が着いた瞬間に母親から鬼電。父からはスタ爆。弟は興味無さそうだったけど、アイツは顔合わせたら別の意味でうるさくなりそうだし。

「…………いきます、か」

「娘をくださいって言いに行く俺がこんなにも緊張してないように見える構図、ある?」

やめてください、それ言っちゃおしまいです。そう思いながらインターホンを押して、玄関の扉に手をかけた。

218→←216



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
設定タグ:声優 , 榎木淳弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:東城つばさ | 作成日時:2021年7月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。