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映画を見て、お互いに表現の肥やしにしてから劇場を出る。あそこ良かった、感動した、そんな他愛のない会話の中に役者としての意見が混ざっていくのはやっぱり面白い。

「…で、ちょっと時間あるけどどうする?」

「んー、服とか見たいんですけど…」

「…行かないの?」

「うん、いいかなぁ。お店、距離あります?」

「まぁそこそこ。…俺わかった、散歩したいんでしょ。」

「あはは、流石だなぁ。まだ感想言いきれてないのもあって。」

感想言いきれてないは嘘。内に秘めたい方だから喋ることなんて正直ない。ただ二人の時間が欲しかった。
それをバカ正直に告げられる素直さもなく、そんな言い訳で言葉を包んだ。


地下鉄で二駅、都内の二駅は徒歩圏内だし多分お店の予約時間としてもちょうどいいくらいだと思う。細かい場所は知らないから、その辺は榎木さん頼りで向かいだす。

「…バンジーのやつ」

「えっその話するんです?」

「めっちゃ叫ぶのかなと思ったら静かに飛んだなぁって」

「…人って追い込まれると声出ないんですよ。」

恥ずかしいから掘り返さないでください…と視線を流せば、隣でくつくつと笑われた。

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作者名:東城つばさ | 作成日時:2021年7月24日 0時

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