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君の存在12 ページ25




タクシーに揺られながらも、思い浮かぶのは紫耀との日々で。




関西の頃は、ただ純粋に紫耀の事が大好きやった。


ちょっと抜けてて面白いのに、いざという時はしっかりしていて頼りになる。

そんな紫耀のことをお兄ちゃんのように慕っていた。





でも東京に来てそんな関係は変わってしまった。



環境の変化に対する不安。
俺を置いて先に進んで行く焦りと悲しみ。

色んな感情が混ざって、ぐちゃぐちゃになって。


いつしか紫耀の隣にいることが辛くなった。



だから俺から紫耀の傍を離れた。




でも、紫耀と離れてやっと気づいた。


隣に君が居ないことの寂しさに。


そして



君への想いに。



お兄ちゃんとしてではなく、1人の男として好きなんだという事に。




どんどんと先に進んで行く君を見て恐怖心を抱いたのは、ずっと君の隣に居たかったから。

君と同じ道を歩んでいたかったから。




それから少しずつ空いた隙を埋めていくうちに、紫耀も俺と同じ気持ちだったことを知った。


紫耀が告白してくれた日のことは今でもよく覚えてる。


俺も好きだと伝えた時の安堵した君の顔。

紫耀に置いていかれるのが寂しかった って伝えたら、強く抱きしめて 1人にしないよ って言ってくれた。




.....今更やけど その一言が嬉しかったんよ。







あぁ、その温もりを感じることはもうないんやなぁ。





流れる夜景を眺めながら 終わった過去を偲ぶ。



気づけば 我慢していたはずの涙が頬を流れていた。
普段は あまり泣かへんけど、最近は紫耀のことで 泣いてばっかやなぁ。

でも涙を流すのも これで最後。


もう泣かん。



この傷も 時が経てば 形を変えて、いつか俺の体の一部になるはず。


そして、何も無かったかのように時間は進んでいく。



紫耀は紫耀の幸せへ。


俺は俺の幸せへ。




互いに別々の幸せに進んでいく。





きっと これでよかったんや…



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作者名:ゆうき | 作成日時:2019年10月8日 1時

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