君の存在5 ページ18
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「あっ!紫耀だっ!」
海人の声に全員が反応する。
その視線の先には、紫耀が出演する映画のポスター。紫耀と女優さんがかっこよくキメて並んでいる。
男女ともに認めるほどの美人な彼女。
国宝級のイケメンと言われている紫耀。
そんな2人が並んでいる様は本当にお似合いで、改めてそこが自分の居場所ではないことを思い知らされる。
「もう公開かぁ」
「紫耀がこの子とイチャイチャしてるとこ観るの楽しみだな」
「まじっ!イチャイチャすんのっ?」
「そういうストーリーじゃないから!」
「でも、キスするんだろ?笑」
「っおい!それ言うなって言ったじゃん!」
......キス、するんや
楽しそうに話しながら歩いていくジンと紫耀と優太。
でも、もう歩くことすらできへん。足が固まったようにポスターの前から動かない。たった数歩やった紫耀との距離が、届かへんくらい どんどん開いていく。
やっぱり...
もう無理やな...
「れーん!」
動けずにいた俺に海人が声をかけてきた。
「この後あいてる?」
「まぁ、特に予定ないけど」
「じゃあさ、ご飯行こ!」
「えー、嫌やわぁ」
「なんでぇー、行こうよ!」
いつもの調子で アホみたいに話しかけてくる海人のおかげで、沈んでいた気持ちを忘れることができた。
「分かった分かった、じゃあご飯行こか」
「やったー!」
ご飯に行くというだけで こんなにも無邪気に喜ぶ海人に、また少し 心が温かくなるのを感じた。
だから、気づかなかった。
俺たちの やりとりを紫耀が見ていることに。
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作者名:ゆうき | 作成日時:2019年10月8日 1時