エンドロールのその後で。【黒羽快斗】

＜2＞真夜中の訪問者 ページ10

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黄昏の獅子から暁の乙女へ

秒針のない時計が12番目の文字を刻む時

光る天の楼閣からメモリーズ・エッグをいただきに参上する


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怪盗キッドから届いたという予告状は、新聞の一面をデカデカと飾っていた。

快斗くんから、しばらく野暮用で会えない、と連絡が来ていたから、お仕事なんだろうなー、とは思っていたけれど。

新聞には、鈴木財閥が発見したロマノフ王朝の「インペリアル・イースター・エッグ」が大阪で展示されており、それを怪盗キッドが狙っている、と書いてあった。


…相変わらずキザな文書を書くなぁ、と思ったのは内緒だ。

そして、暗号が何なのかは全く分からない。

ていうかロマノフ王朝って何。インペリアルって何。

12番目の文字って、どの12番目なの？


夏休みのお昼前、カフェオレを飲みながら新聞を熱心に読む私を、お母さんが珍しそうに眺めていた。


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『見た？新聞！キッドの予告状！』


大学の友人からそんなLINEが来たのは、それからお昼すぎの事だった。

みたよ、と返すと、『暗号解けた？』なんて返事が返ってくる。


『全く分かんない。12番目の文字って何？』

『ふっふっふ。私解けたかもしんない』


うそ！？

警察も解けてない暗号なのに！？


なんて意味！？と返すと、電話が掛かってくる。


『きっと、アルファベットの12番目なんだよ』

「アルファベット？」

『そー！ロマノフ王朝って多分外国だし！アルファベットの12番目はLでしょ？3時って読み取れるよ！』

「なるほど…？」


案外単純な暗号だったみたいだ。

警察に伝えてみたら？なんて言うと、『え？伝えちゃう？女子大生探偵爆誕しちゃう？』なんて浮かれた声が返ってきたので全力で止めた。爆誕してしまったらきっと、解明される謎も迷宮入りになってしまう。


『暗号の犯行時刻って、3時なの？』


友人との通話の後、こっそり快斗くんに答え合わせしてみる。

会えないけど、ちょくちょく連絡をくれる快斗くんは、明日大阪に向かうとかなんとか。

いいなぁ大阪。たこ焼きとかお好み焼きとか食べたい。

ついつい大阪の観光ガイドを調べてしまう。ユニバ行きたい。


…大阪行くなら、一緒に行きたかったなぁ、なんて思うけど。

遊びに行くんじゃなくて、快斗くんの大事なお仕事だからね。きっと、大人しく待つのが私の仕事なんだろう。

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