エンドロールのその後で。【黒羽快斗】

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快斗くんからのメッセージはそれからまた届く事はなかった。

けど、無事だと分かって安心して、思わず息を吐いた。


…思えば、快斗くんからの連絡がこんなに途切れたのは初めてかもしれない。

それほどまでに今回は手強かったのか、なんて思う一方で、今まで快斗くんは私を安心させてくれてたんだな、と気付いた。

彼の方が年下なのに、私は支えられてばっかりだ。

せめて、明日会えたら労ってあげようと、チョコアイスを買ってあげる事を決める。


羽田空港への行き方と、目覚ましをセットして、今度こそ眠ろうと目を瞑った。


・


そして、到着した空港。

空港なんて初めて来たから、色んな国の人達が行き交う事に驚きながら、ゲート近くのテーブルに腰を降ろす。


もうすぐ32分。溶けないようにとさっき買ってきたチョコアイスを一瞥して、快斗くんの顔を思い浮かべて思わずニヤける。


前回会ってから１週間くらいしか経っていないのにこんなにも待ち遠しいなんて。

早く出てこないかなーなんて思いながらゲートの先を見つめると、博士感のあるおじいさんと小学生くらいの女の子が誰かを待つようにゲートの傍へ歩いていくのを見つけた。


同じ飛行機に乗ってくるのかな、なんて思っていると、

「ここで待機！出てきたらすぐに取り囲むように！！」


…ん？


バタバタと慌ただしい足音とともに、機動隊のような格好の男の人達…ていうか本物の機動隊では？が、ゲートの少し離れた所へ整列した。


「今日こそキッドを！！捕まえるぞ！！」


その前に立って声を張り上げるのは、何度か見たことのある、青子ちゃんのお父さん。つまり、中森警部。


「快斗くん？」


これは、よろしくない状況では？

博士っぽいおじいさんの横に立っていた女の子がその様子を見て呆れたようにため息をついた。


ポカンと中森警部を見ていると、ワイワイと話しながらゲートへ出てくる集団。


快斗くんはどこだろうとイスから立ち上がると、何故か癖毛を綺麗に整えた快斗くんが、青子ちゃんに少し似た、大人っぽい女の子にぎゅっと腕を掴まれているのが目に入った。

…快斗くんはというと、満更でもなさそうにヘラヘラ笑っている。


え？仕事先で浮気ですか？

思わず、この前友人に見せられたチベットスナギツネのような表情になるのは仕方ないと思う。

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