84.その立場は甘えだった(Shirabu side) ページ42
○
Shirabu side
どうしようもなく腹が立った
あいつに肩を抱かれただけで目を泳がせてあからさまに動揺していたAは、俺がこうやって押し倒した所でほとんど表情を変えない
それは俺がこいつにとって"従兄弟"という存在でしかないから。俺たちが普通の男女としてではなく、従兄弟として出会ったからだろう
『俺、お前の従兄弟、やめる』
だったら、"ただの従兄弟"なんて関係、やめてしまえばいい
お前を傷つけないために、そして俺自身が傷つかないように押さえつけていたこの気持ちも、もう我慢はしない
A「…私、賢二郎になにかしちゃった、かな。もしそうならごめんなさい
賢二郎は、私にとって大切な従兄弟だよ。」
"従兄弟"。その3文字でちくりと胸が痛むようになったのはもうかなり前の事だ
俺が本当に従兄弟でなくなると思っているのか、その青色は憂いを帯びて少し伏せられる。頭はいいくせに鈍感なAにため息が出そうになる。
きっと今を逃せば、俺はまた"従兄弟"という存在を辞める勇気を無くするだろう
『…A、俺は』
A「…？」
白い頬を撫でて名前を呼べば、首を傾げてじっとこちらを見つめ返してくる。そんな無知な瞳でさえ俺の心臓はどきどきと高鳴るんだから、相当重症なのだろう
『1回しか言わねえぞ、
俺は、お前がっ、』
つまりながらもなんとかその2文字を声にしようとした時。
ﾌﾞｰﾌﾞｰﾌﾞｰ、ﾌﾞｰﾌﾞｰﾌﾞｰ
そんな鈍いバイブ音が響いた。俺のジャージのポケットから、スマホの振動が伝わってくる。…どんなタイミングだよ
A「賢二郎、携帯。」
『…はあ、』
Aに"早く電話に出ろ"といった感じでじっと見つめられたため、渋々上体を起こしてスマホを取り出す。
画面には"天童覚"の文字。…この人の場合、大した用事があるようには思えないが、出なければ後から面倒になるだろう
『…もしもし』
通話ボタンをタップして、如何にも不機嫌な事を示すために低めの声で応答した
○
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1893人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
8airi3(プロフ) - 教えていただきありがとうごさいます！！さっそくやらせていただきます！！ (2021年4月11日 6時) (
レス) id: 24ae341109 (このIDを非表示/違反報告)
@ゑの(プロフ) - 8airi3さん» コメントありがとうございます!!ぬああお褒めいただき光栄でございます!!画像はhttp://uranai.nosv.org/bbs/img/こちらで申請許可されたURLを貼れば可能です！ご参考になればうれしいです！ (2021年4月10日 23時) (レス) id: c4dd513e8f (このIDを非表示/違反報告)
8airi3(プロフ) - 面白いです！すごく続きが気になります！ところで画像ってどうやって貼ってるんですか？出来れば教えて下さい！ (2021年4月1日 9時) (レス) id: 24ae341109 (このIDを非表示/違反報告)
@ゑの(プロフ) - 絲彩さん» コメントありがとうございます!ふあああ更新遅くなり本当に申し訳ございません(´；ω；｀)できる限り更新スピードを早めますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年3月30日 14時) (レス) id: c4dd513e8f (このIDを非表示/違反報告)
絲彩(プロフ) - 久々の更新嬉しくて、深呼吸しながら読みました笑これからも無理のないように頑張ってください!! (2021年3月29日 15時) (レス) id: 26bb475f58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：@ゑの | 作成日時：2021年1月24日 21時
