風 ページ10
不死川『なんだ?
煉獄家に代々伝わる羽織りを撫でながら
千寿郎くんが焚き火しているのを眺めていると
風柱の不死川実弥さんが煉獄家に現れた。
これが私が柱になる前最後に会う不死川さん。
不死川『紅炎寺、隊服はどうしたんだ?まさか鬼殺隊辞めるとか言わねえだろうな?』
隊服を着ていない私を見てそう聞く風柱様に
私は首を横に振り答える。
「隊服は着すぎて擦れてしまったので新調しました。その隊服がアレです。」
千寿郎くんが無表情で眺めている焚き火は
よく目を凝らすと隊服が焼かれていた。
不死川『え?何してんの?』
千寿郎『恋柱様の不幸を二度と引き起こさない為に…』
風柱様は全て理解したらしい。
胸元の開き過ぎた隊服を送られてきた時、
ちょうど煉獄家で千寿郎くんを隊士として鍛えようと
私が口説く為に訪ねていた。
千寿郎くんはソレを見た瞬間火に投げた。
私は一度面白半分で着てみたかったのだが…
不死川『よし。いい心がけだ。胡蝶に報告しておく。』
風柱様は鎹鴉に伝言をさせる。
不死川『俺はお前に用事があったんだけど、先にコイツにツッコミたい。』
千寿郎くんに用事があるはずなのに
私にツッコミたいという芸人魂を見せつける風柱様に
私も千寿郎くんも顔を顰める。
不死川『お前の鎹鴉、派手過ぎねえか?』
風柱様と共に私の鎹鴉を見ると
私が最近作った
可愛い柄の袴にブーツを着させているだけだった。
「派手…?この間見かけた音柱様の鎹鴉がお洒落でしたのでそれが流行りなのだと思っていました。」
杏寿郎さんの鎹鴉(かなめ)にも…と今作成途中の
煉獄家の羽織りとほぼ同じデザインの服と隊服を見せつければ
風柱様は一歩後退りした。
不死川『お前…イカれてるな。』
「イカ?ですか。イカでは無いですが最近豆大福の羽織りを作りました。」
これ着てると
色んな人に豆大福貰えてラッキーなんて言っていたらどつかれた。
不死川『仮にも鬼殺隊士が豆大福貰うために羽織り作るなよ。』
千寿郎『あ、風柱様それは、』
「そうですよね、趣味に時間使うくらいなら鬼斬れって感じですよね…」
杏寿郎さんの羽織りを千寿郎くんに返し
煉獄家に伝わる羽織りの
色違いである私の羽織りのほつれを
2秒で直し煉獄家を後にした。
その二日後、今度は恋柱様と煉獄家にお邪魔する事になる。

45人がお気に入り

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Black cat | 作成日時:2024年6月23日 22時